3年前の田中大貴(現アルバルク東京)、一昨年のザック・バランスキー(現アルバルク東京)、昨年のベンドラメ礼生(現サンロッカーズ渋谷)など、大学界を代表する選手を擁しリーグ3連覇を達成した東海大。際立ったスター選手が不在の今年は4年生を軸とした『全員バスケ』で戦い、苦しみながらも2位を死守した。この大会で初のポイントガードも務めた中山拓哉は「優勝は逃したもののチームが成長できた2ヶ月だった」と語る。
――まずリーグを振り返っての感想を聞かせてください。
もちろん狙っていたのは優勝ですが、それが叶わないとわかってからはしっかりインカレにつながるゲームをしようと気持ちを切り替えました。2位になるためには最後の2戦は負けられなかったわけですが、全員が気持ちを1つにして筑波大にも勝利することができました。全体を振り返ると1点差、2点差の接戦が多くてこれまでになく苦しいリーグでしたが、その接戦を制したことでチームとしては成長できたのではないかと思います。
――このリーグではポイントガードも経験しました。苦労した点などありますか?
1番(ポイントガード)に起用されたのは(伊藤)達哉がケガしたことがきっかけですが、1番の経験は大学に入ってから全くなかったので、多少不安はありました。でも、あわてることはなかったです。これまでもドライブからのキックアウトはよくやっていたし、中に切って行ってディフェンスを寄せてシューターに打たせるのは得意というか、自分の強みでもあるので、1番を任されてもそれは意識してプレーしました。ゲームコントロールなど不慣れなところもありましたが、それも含めてすごくいい経験になったと思います。
――今年の4年生はメンタリティが強い選手が揃っていますが、その分『4年生に頼ってしまう』印象もありました。
そうですね。リーグの最初のころはやっぱり4年生がメインで引っ張るという感じでしたが、戦っていくうちに下級生の中に「自分たちがもっとやらなきゃいけない」という意識が芽生えてきたように思います。スタメンにも下級生が入ってきたし、白戸(大聖)なんか明らかに積極性が出てきました。だんだん頼もしくなってきたなあと感じています。
――陸川章監督は「中山はとにかく負けず嫌いで最後まであきらめない選手」とおっしゃっていました。それは間違いないですか?
間違いないです(笑)基本的にマッチアップする選手には絶対負けたくないですね。自分が東海大に入ったときはAチームとBチームの境目ぐらいにいて「一応Aに残しとくか」ぐらいの存在だったと思います。でも、1年のとき、先輩たちがいろんな大会の代表メンバーに入ってめっちゃ抜けてチャンスをもらえたこともあり、同期のやつには負けたくないという気持ちで頑張りました。2年でスタートに入れたのは負けず嫌いのおかげというか、それが自分の最大の武器だと思っています。ルーズボールなんかもあきらめませんね。誰のものでもないボールは全部自分のボールだと思ってますから(笑)
――インカレに向けての意気込みを聞かせてください。
リーグ戦の最後に筑波大を破ることができましたが、それはそれ。インカレはまた全然違う舞台だと思っています。だから、本番までの短い期間にもう一度チーム作りをしっかり見直さないといけません。そうしないと決勝に行く前に敗れる危険もあります。いい意味でそういう危機感は持っていないとだめだと思います。(リーグ)優勝した筑波大を見ると、やっぱり個々の身体能力とか技術とかはうちより高い。でも、僕たちがチームとして泥臭く戦えば勝てる相手だと信じています。2年連続決勝で負けているので、筑波大を倒して優勝したいという気持ちはすごくありますが、そのためにはまず一戦一戦を大事に戦っていくことが必要です。それと、自分としてはインカレを楽しみたいですね。もちろん勝つことが最優先ですけど、4年生というプレッシャーを感じすぎることなく、最後のインカレを思いっきり楽しめたらいいなと思っています。
大学日本一を決める第68回全日本大学バスケットボール選手権大会は、11月21日(月)〜27日(日)まで、代々木第二体育館をはじめ東京都内で開催される。組み合わせは11月3日(木)に発表。詳しくは全日本バスケットボール連盟オフィシャルサイトにて。
また、インカレでベスト8に入ったチームが、年明けに行われるオールジャパン(天皇杯)への出場権が与えられる。
文・松原 貴実 写真・泉 誠一