「去年1回戦負けの悔しさを味わった2年生が奮起してくれました」(東海大・陸川章監督)
日大は勢いがあるなあと感じていました。シュート力のある松脇(圭志)君と(杉本)天昇君のところをどう止めるかが課題だったのですが、試合を重ねるごとにセンターの(シェイク)ケイタ君がどんどんうまくなってきて、今日の前半はインサイドの力強さにやられました。けれど、我々はディフェンスのチームなのでそれを忘れず最後まで全部出し切ろうと話し、ずっと追いかける展開でしたが、いい感じでついていけた。最後に(うちが)プレッシャーをかけられる流れだったのでこれでいいと思っていました。
でも、まさか最後の最後にこんな展開になるとは(笑)。残り10秒に天昇君のシュートで同点にされた後、すぐタイムアウトを取ったんですが、最後はガードの(寺嶋)良の判断に任すとみんなに言いました。(平岩)玄がスクリーンに行ったら、良が自分で行ってもいいし、ノーマークにしてパスを回してもいい、おまえの判断に任すと。
実は内心、延長戦を覚悟していたんです。が、いいパスを回して、結果、笹倉(怜寿)がドンピシャで決めてくれました。今年の2年生は去年の新人戦で1回戦負けの屈辱を味わっているんですが、そのせいもあって今年は絶対優勝すると気合い十分でした。
この代はどこか今年卒業した寺園(脩斗/九州電力)たちの代と雰囲気が似ていてガッツがあるんです。李相佰盃やU-24、またフル代表の合宿にも参加した玄もその経験を成長に繋げてくれました。また、1年生の西田(優大)と津屋(一球)はU19でチェコと3戦やったあとの合流でしたから疲れもあったと思いますが、よく頑張ってくれました。天昇君とマッチアップした西田はファウルトラブルに苦しみましたが、どんなタイプの選手とでもマッチアップできるディフェンス力を付けるのはこれからの課題の1つ。こうした課題を1つずつクリアして、ゆくゆくは日本のエースに育ってほしいと願っています。
「最後まであきらめず声をかけることを心がけていました」(東海大2年 #0寺嶋良)
日体大戦(準々決勝)で後半の守りが甘くなったことを反省して、拓大戦(準決勝)では40分間緩むことなくディフェンスを徹底できたのはよかったと思います。ガードとしてゲームをコントロールすることはもちろんですが、うちは西田もボールを運べるし、笹倉と一緒に出たときはあいつがセーフティになってくれるので、自分が思いきり攻めることができます。そういう意味で1番とか2番とかは特に意識していなくて、点を取らなきゃならない場面ではいつでも積極的に行きたいと思っていました。
特に今日の4クォーターはベンチにいても『自分が出たら絶対相手を止めてやる、絶対得点してやる』という強い気持ちがあって、コートの上でそれは表現できたかなという気がします。このチームはリクさん(陸川監督)に言われなくても自分たちで集まって話し合ったりするチームで、中でも平岩はいつもいい意見を出してくれて助かりました(笑)。
このチームで優勝できたことが本当に嬉しいです。自分は1年のときに寺園さんや(伊藤)達哉さん(京都ハンナリーズ)という偉大な先輩の背中を見てきたので、それに追いつけるガードになれるようこれからも頑張っていきたいと思います。
「ゴール下では‟自分が退いたら終わりだ„という気持ちで戦いました」(東海大2年 #25平岩玄)
優秀選手賞をいただきましたが、ミスが多かったし、勝負所で絡めてないし、まだまだ周りに助けられて取らせてもらった賞だと思っています。全然合格点じゃないですね。ただ、自分はインサイドのプレーヤーなので、ゴール下の戦いでは負けられない、そこだけは絶対退かないという気持ちでやっていました。
ファウルが4つになったときもその気持ちは変わらなかったです。決勝で当たった日大には(土浦日大高校のチームメイトだった)松脇と天昇がいて、今まで自分を助けてくれていた2人が自分を苦しめる相手になっていることがなんか不思議な感じでした(笑)。2人とも高校のときよりずっと勝負強くなった気がして、あいつらがボールを持つとほんとに怖かったです。
最後の怜寿のシュートは絶対入ると思いましたよ。あいつと組んでずっとシュート練習していたので、シュートタッチが良くなってきているのも感じていたし、決めてくれると信じてました。とにかく今は優勝できて嬉しいし、ホッとしてます。去年は1回戦負けで「東海大バスケ部史上最弱の代」とか言われたので、その汚名を晴らすことができてよかったです(笑)
「ライバルからも刺激をもらった大会でした」(東海大1年 #19西田優大)
(U19の活動で)最後の1週間は練習に参加できなくて迷惑かけたんですが、どこまで貢献できたかはわからないですけど優勝できてよかったです。周りに助けられて取らせてもらった新人王だと思っています。
(春のトーナメントから)ガードをやらせてもらっていますが、この身長(188cm)でシューターだけというのはこれから厳しい面もあると思うので、将来的にプラスになると捉えてこれからもガードの練習を続けていくつもりです。
この大会では準決勝で拓大の岡田(侑大)、決勝で日大の天昇とマッチアップしましたが、やはり2人とも力のある選手なので、ライバルとしていい刺激をもらいました。これからしばらくはU19の世界大会(7月1日~9日にエジプトで開催されるFIBAU19バスケットボールワールドカップ2017)に照準を合わせることになりますが、チームに帰ってきたとき成長した姿を見せられるよう代表でも頑張ってきたいです。
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文・松原貴実 写真・安井麻実