1年生と2年生で結成したチームが優勝を争う新人戦は各チームの‟これから„を占う意味でも興味深い大会だ。高校での活躍がまだ記憶に新しい選手たちがそれぞれ進んだチームでどんな成長を見せてくれるのか、短期間での『変化』を見るのも楽しい。今大会最初の必見カードとなったのは優勝候補の一角に挙げられた筑波大と日本大の準々決勝。
3クォーター終了時点で14点差を付けられた日本大だったが、4クォーターに入ると#44松脇圭志のシュート(この試合35得点)を中心に怒涛の反撃を見せ、ついに同点に追いつく。その勢いはオーバータイムに入っても止まることはなく、5分の攻防を17-11で制して逆転勝利を飾った。
続く準決勝(対専修大)もこれまたクォーターごとにリードが変わる激戦となるが、4クォーターに二桁リードを奪われたところからシューターの#10杉本天昇が覚醒。連続シュート(この試合42得点)で猛追すると、最後は#4上澤俊喜が値千金の3ポイントシュートを沈めて決勝の扉をこじ開けた。また、もう1つの準決勝で顔を合わせた東海大―拓殖大も終始リードを奪い合う白熱戦となったが、最後は持ち前のディフェンス力で拓殖大の追撃を振り切った東海大が決勝進出を決めた。
日本大の勢いか?東海大の堅守か?
注目の決勝戦は208cmの#0シェイク・ケイタを柱に多彩な攻撃を見せた日本大が40-30とリードして前半を折り返す。後半に入ると東海大がじわじわと点差を詰めるも日本大が6点のリードを守って4クォーターへ。ここで躍動したのは東海大のキャプテン#0寺嶋良。開始7分で11得点を奪う活躍で日本大の背中を捕えると、残り30秒に#19西田優大のシュートでついに逆転に成功する。しかし、日本大も負けじと杉本が強気な1本を沈め69-69の同点に持ち込んだ。残り時間は10.8秒、タイムアウトで一呼吸置いた後、東海大は寺嶋がカットインを試みると思いきや、ディフェンスが寄ったところですかさずパス、回ったパスを受けた#22笹倉怜寿がコーナーから放ったシュートはタイムアップのブザーと同時にリングに吸い込まれ、その瞬間東海大の4年ぶり5回目の優勝が決定した。
「最後にボールが回ってくる前、ベンチでリクさん(陸川監督)が何か言ったんです。何を言われたのかはわからなかったけど、ニコッと笑ってくれたのはわかった。一瞬でしたが、それで気持ちがスーッとリラックスできました。あのシュートが決まったのはリクさんの笑顔のおかげです」とは、最後の主役になった笹倉の弁。劇的ブザービーターにどよめく会場からは大きな拍手が沸き起こったが、それは優勝した東海大のみならず、奮闘むなしく惜敗した日本大の選手たちの上にも等しく贈られたものだった。
大会結果
優勝 東海大学(4年ぶり5回目)
準優勝 日本大学
3位 専修大学
4位 拓殖大学
5位 筑波大学
6位 青山学院大学
7位 日本体育大学
8位 立教大学
個人賞
新人王 西田優大(東海大学1年)
優秀選手賞 寺嶋良(東海大学2年)
優秀選手賞 平岩玄(東海大学2年)
優秀選手賞 松脇圭志(日本大学2年)
優秀選手賞 盛實海翔(専修大学2年)
優秀選手賞 岡田侑大(拓殖大学1年)
得点王 アブ・フィリップ(専修大学2年)
3Pシュート王 盛實海翔(専修大学2年)/新屋広晃(立教大学2年)
アシスト王 牧隼利(筑波大学2年)
リバウンド王 アブ・フィリップ(専修大学2年)
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文・松原貴実 写真・安井麻実