夢はまだ終わらない | 第77回全日本大学バスケットボール選手権大会・立教大学 #3 田平真弥

4年生進級時に自らキャプテンの重責を買って出たという田平は、とにかく立教大を強くすることを第一に考えてバスケットと向き合ってきた。インカレベスト4という目標に届かなかったとはいえ、関東1部復帰は自身の代で達成。それもまた誇りに思い、胸を張って後輩たちに後を託す。

「毎年強くなってるというのは実感してて、でもそれは下級生が入ってどんどん良いチームになってる部分もあるので、自分が誇らしいというよりは……ちょっと誇らしい部分もあるんですけど（笑）、自分が卒業した後ももっともっと強くなっていくチームだと思うので、上を目指して頑張ってほしいです」

立教大で過ごした4年の間には、人生を変えるような出来事もあった。田平はストリートボールのイベント、TOKYO STREETBALL CLASSICに出場したことがあるが、そこでのプレーを見た桂葵（現・トヨタ紡織）からメッセージが届いたのだ。中学生の頃にその存在を知り、憧れを抱いていたという桂から直接誘いを受け、田平は桂が取り仕切るZOOSの一員となる。田平が自身を「運が良かった」と言うのは、この出会いも含まれている。

「3人制の楽しさもバスケットの楽しさも知れたのが葵さんとの出会いだと思ってすごく感謝していて、自分にはない世界が見えたというのが大きかったんです。3人制で今までのバスケ人生で初めて代表に入って世界と戦うことができたし、バスケットの視野が広がって、バスケットがもっと好きになったというのがあります。葵さんのバスケットに対する考えに自分はすごく共感したので、3人制でプレーできたのも、代表に入れたのもZOOSでバスケットができたおかげだなって思ってます」

インカレMVPを受賞するほどの選手でありながら大手総合商社に就職したかと思えば、その安定をかなぐり捨てて再びバスケットの道を突き進むという、他の誰とも異なる桂流の生き方は、「人と違うことをしたい」という田平にとってこの上ない刺激だ。Wリーグでプレーしたいという意思を持ちつつ、希望するチームからのオファーがなかったことで、田平の今後はまだ定まっていないとのこと。当面は3×3でプレーすることが第一の選択肢となっているが、「葵さんと出会えたことは人生の転機」と語る田平は、どの道に進もうとも「葵さんみたいに人に影響を与えられるような、新しい風を吹かせられるような選手になりたいです」とこの先のバスケット人生を見据えているところだ。長年思い描いていた立教大への進学を実現し、そこでの4年間もいくつもの夢を叶えてきた田平。今後の動向からも目が離せない。