景井武蔵が39点の活躍でインカレ初勝利「この記録は仲間のみんなが作ってくれたもの」
高校バスケ最高峰となる年末のウインターカップでは、仙台大学附属明成の畠山俊樹コーチ(大阪エヴェッサ、越谷アルファーズなど)や市立船橋の星野拓海コーチ(千葉ジェッツ)など、母校や地元で指揮を執る元プロ選手の姿があった。年明け、U15世代日本一決定戦のJr.ウインターカップにはBユースが参加。現役時代の姿がまだまだ脳裏に焼き付いている若い指導者が、新たな舞台で活躍しはじめている。Bリーグだけではなく、Wリーグ出身のコーチもまた多い。大学界も同様であり、セカンドキャリアとしてバスケ人生の続きを見られるのがうれしい。岡山商科大学をはじめて第76回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)へ連れて来たのは、東芝ブレイブサンダース(現・川崎ブレイブサンダース)出身の宇田康利監督である。
名古屋経済大学との初戦は17:45ティップオフ予定だった。しかし、第1試合がはじまる12:30前に宇田監督の姿を会場で発見。母校の拓殖大学を見守るため、恩師の池内泰明監督へ挨拶するため、早くから来場していた。その後もスタンドをうろつく宇田監督にとって、はじめて全国の舞台に立つ選手たちにとっても落ち着かなかった。
「初戦は緊張もあって、なかなか自分たちのバスケができず、私を含めて学生も自分たちのことができなかったです。もうモヤモヤがずっと残っているような感じでした」
名古屋経済大学戦は75-87で敗れる。立ち上がりで12-21とビハインドを背負ったが、その後の30分間は63-66と互角の戦いができていただけに悔しい。3チームによるグループステージだが、先に2戦を終えた名古屋経済大学が連勝し、この時点でトーナメント進出が決まった。岡山商科大学にとっては結果に関係なく、次の札幌大学戦がラストゲームとなる。
札幌大学を率いる小原和峰監督は、東海大学大四(現・東海大学付属札幌)高校出身。ブレイブサンダーズの先輩であり、現在は佐賀バルーナーズの宮永雄太ヘッドコーチや三遠ネオフェニックスの柏木真介とともに、「3ガードの一角でした」と一目置く先輩との対戦。第2クォーター、成長株のセカンドユニットが勢いづけると少しずつ点差が開いていった。#11 景井武蔵がキャリアハイの39点を挙げる活躍で83-50と圧倒し、インカレ初勝利を飾る。「この記録は仲間のみんなが作ってくれたものであり、自分だけの得点ではないので感謝したいです」と景井は述べ、はじめての全国大会で結果を残した。
「先輩たちも毎日夜遅くまで自主練をしている姿を見て、それを見習ってきたことが今日の結果につながった」
岡山商科大学は、2023年の新人インカレに出場した #7 楠本琉翔、#9 山田空宙、#15 溝手晴起、#31 佐々木白斗ら3年生が中心となる。その実績により、先発の #14 福田壮汰をはじめ、楽しみなルーキーを迎えられた。新人インカレ出場をターニングポイントとし、「ディフェンスの強度を上げることは常に言ってきましたが、本当にがんばってくれて格段に良くなりました。また、今まではなかなか交代メンバーがいない中で戦っていましたが、今年は中国地区リーグ戦でもセカンドユニットの選手が非常にがんばってくれました。その時間帯に崩れないどころか、少しリードできるような展開も作ってくれたことがチームの強みになりました」と宇田監督は話すとおり、成長が見られる。
宇田監督はリクルートでも苦労し、「良い選手たちはごっそり取られてしまい、コロナ禍で大会にも顔を出せない状況が続き、新参者はどうすることもできなかったです。今の4年生も元々4人いましたが、一生懸命がんばって最後まで残ってくれたのが景井です」とチームをまとめるキャプテンであり、唯一の4年生に感謝する。創部7年目、立ち上げ時の先輩から新人インカレに出場した後輩まで、景井はチームの変遷を目の当たりにしてきた。