國學院久我山は昨年3月に行われた2024 bjカップ U18において優勝を果たし、村田が大会MVPに選ばれている。村田によれば、チームはその前の新人戦を終えた段階から、日本一という目標を謳ってきたとのこと。インターハイでは開志国際に完敗したが、「日本一という大きな壁にぶつかって、自分たちもやっぱりただ普通に練習するだけじゃダメなんだと思って、毎日の練習時間は短いんですけど、一つひとつのプレーにこだわることをやってきました」と敗戦もまた良いモチベーションにした。結果的に國學院久我山は2回戦で敗れ去ることになるが、その相手は後に準優勝を果たすこととなる鳥取城北。あくまでも仮定の話になってしまうが、前半は8点リードを奪ったことを考えると、組み合わせ次第では國學院久我山にもメインコートに立つ可能性はあったのかもしれないし、それほど力のあるチームであったことは確かなはずだ。
これで村田の高校バスケット生活は幕を閉じ、今後は大学にステージを移すことになる。ただ、その前にも村田が躍動する姿を見るチャンスがある。年明けから大学に合流するまで、村田は青森ワッツの特別指定選手として活動するからだ。高校生がBリーグの特別指定選手となった前例はまださほど多くはなく、河村勇輝や井上宗一郎、米須玲音など錚々たる名前が並ぶ。B2とはいえ、そこに肩を並べることは快挙。北谷稔行GMも「日本代表になる可能性を秘めた選手」とそのポテンシャルを高く買っている。
村田本人は「将来プロになることは決めてたんですけど、すぐにその夢が叶うとは思わなくて、素直にビックリしました」と語るが、プロという目標を持っていただけあって、心の準備はできている。青森入りが決まってからは青森の試合を映像でチェックし、どういうプレーをするべきかというイメージも思い描いてきたそうだ。
「12番の池田(祐一)選手がすごく上手くて、外国籍選手とのピック&ロールの攻めが多いので、そこで自分が2番としてコーナーでいつでも3ポイントを打てるような準備をしたいです。池田選手からのアシストでスリーを決めたいなって、試合を見ながら思ってます。
高校生でプロの舞台に立つので、まずはルーズボールで泥臭く、リバウンドも頑張ってチームに貢献したいと思います」
先頃千葉ジェッツ入団が発表された瀬川琉久(東山)のように、おそらく今後は高校から直接プロの門を叩く選手も徐々に増えてくるだろう。その試金石という意味でも、村田が青森でどのような爪痕を残すかが興味深い。
文・写真 吉川哲彦