今回が4年連続でのインカレ出場となった環太平洋大・女子バスケットボール部。つまり、今年度の4年生は1年時から毎年全国の舞台まで勝ち進んできたわけだが、最終学年となった今回は過去3年と異なる部分があった。昨年度まで率いてきた中川和之監督がチームを去り、新監督を迎えてシーズンを戦ってきた点である。
中国ブロック1位で臨んだこのインカレは、12月2日の愛知大戦で101-55と圧勝。初のグループラウンド突破をかけて臨んだ翌日の東海大九州大戦は、第1ピリオドに10点のビハインドを背負う厳しい立ち上がりから、第3ピリオドは22-8と一気に盛り返してリードを奪い、第4ピリオドは一時9点リードから反撃を受け、残り2分27秒には同点に追いつかれる。しかし、そこから4年生の松尾優希がチームの全9得点を叩き出し、二転三転の熱戦を72-68で勝利。現行のフォーマットになってから阻まれ続けてきた決勝トーナメントへの切符を、ようやく手にすることができた。新指揮官・西垂水美桜の試合の振り返りは以下の通りだ。
「今日は東海大九州さんのほうがサイズがあって、自分たちにもアドバンテージがある中、出だしに相手のエースがしっかり決めてきて、自分たちのシュートが入らないという苦しい時間帯が続いたなという印象なんですけど、そこで気持ちが切れることなく後半に入れたのが良かったところです。昨日の試合もそうですけど、今日の試合も今までで一番良いゲームと言っても過言じゃないくらい、別チームを見てるみたいで(笑)。私が何か『これをしなさい』と言ったわけではなくて、『気持ちで負けないで、冷静になってやろうね』と選手たちの気持ちを上げることしかしてないので、彼女たちが自分でしっかりつかみ取った試合だったと思います」
環太平洋大は、スケジュールとも戦わなければならなかった。11月30日に愛媛で皇后杯2次ラウンドを戦った後、1日挟んで東京でインカレに臨み、4日間で3試合を消化したのだ。皇后杯で対戦した東京羽田ヴィッキーズには西垂水監督のかつての戦友も在籍しており、「千葉(歩)さんには『お手柔らかに』って言ったのに、あの人めっちゃシュート決めてきて(笑)」と恨み節(?)も交えたが、インカレ直前にWリーグのチームと戦ったことを収穫とも受け止めていた。
「東京羽田さんにボコボコにされて(笑)、特に当たりの違いを体感して、『これじゃ負ける』というのがあってこのインカレに入れたのが良かったんじゃないかと思ったし、昨日の試合で自信を持ってくれた。みんな本当に仲が良いので、4年生のためにベスト8の目標を達成するぞと、チームとして戦えて勝った試合なんじゃないかなと思います」
冒頭に書いた通り、西垂水監督は今年度就任したばかり。それも、昨年の3月までは現役選手だったのが、いきなり指揮を執る立場となった。言葉で伝えなければならないコーチ業の難しさを痛感する中で、指導者が代わったことによる選手の不安を取り除く必要もあり、さらには前任者と異なるバスケットスタイルの構築にも取り組まなければならなかった。選手は全員、中川前監督がリクルートしてきた選手。これまで作り上げられてきたチームの特徴を尊重しつつ、自身の色をどう加えていくかに腐心した。