進学の決め手は「一番伸びる環境」
熊本にある東海大学九州とは少し距離があるが、「ウインターカップ前などには、いつも大学生にお世話になってきました」と東海大学付属福岡高校時代から互いに知る間柄。進学の決め手も、「自分が一番伸びる環境だと思い、プレーでも精神面でもずっと細かく粘り強く元監督は言ってくれるので、自分の成長につながるかなと思いました」という赤間は東海大生として5年目を数える。
話題のルーキー #18 赤間賢人は弟であり、藤枝明誠高校から本家・東海大学に進んだ。高校から東海大学でプレーしてきた姉にとって、弟の進学先を聞いたときは驚いたそうだ。少なからず姉の影響を受けたかと聞けば、「たぶん何も関係なく進学しました」と笑う。男子トーナメントの第3シードでデビューを待つ弟・賢人は、11月5日に初戦を迎える。
たった2試合で終わった姉だが、初戦は4本、2戦目は10本中6本と確率良く3ポイントシュートを決め、26点をマーク。発展途上なシューターは大学での成果や手応えを感じており、はじめてのインカレでインパクトを残した。
「1年生のときからそうなんですけど、まだ波があります。特に昨年は入っているときは良いですが、入らないときもずっと悪い流れのまま打っていました。でも、2年生になってから入らないときには、自分の感覚を取り戻すためにジャンプシュートを打つことも心がけています」
近年ではアイシン ウィングスの森口朱音と大舘真央をはじめ、元監督はこれまでもWリーグへ多くの選手を送ってきた。「子どもたちの前では、あんまり言わないけどね」と目を細めながら、赤間への期待感を耳打ちする。「Wリーグへ行ける選手だと思っているけど、性格がおとなしい。なので、そこを崩したい。そうしたらすごく良くなる。弟が、がんばっていますからね」と楽しみな逸材を丁寧に育てている。
元監督は男子チームの指揮も執り、同日開催では横浜から八王子までハシゴする。その移動の苦労を心配すれば、「僕は全然大変じゃない」と笑顔で一蹴した。
「本当に選手もスタッフもみんなががんばっていることが、やっぱりありがたい。これだけついてきてくれてくれることは、なかなかできないよ。特待生もさほど取れない中でも、全国まで来られているのはみんなのがんばりであり、本当にありがたいこと。子どもたちの前では、あんまり言わないけどね」
本家と変わらぬ厚い信頼関係もまた、東海大学九州の強さである。全国デビューを果たした下級生たちの伸びしろを確認できる来年が今から楽しみだ。
文・写真 泉誠一