広島ドラゴンフライズのつながりはチーム発足時から、岡崎修司GMが大学の特任講師だった縁もあり、指導を受ける機会に恵まれてきた。先が見えない新チームだったがまわりのサポートがあり、高い目標を掲げたことでポジティブなエネルギーが溢れている。「計画して結果に出たことはバスケだけではなくて、これからの人生にも生かせるなと思いました」と科野が言うように、自分たちで切り拓く力を養う4年間だった。広島ドラゴンフライズの妹分のような広島都市学園大学の努力が結果として実り、中国予選3位のラストスポットで目標としていたインカレの舞台に立つ切符を手にした。
初戦の舞台はインカレ決勝が行われるメインアリーナの代々木第二体育館。相手は先日発表されたばかりのWリーグのアーリーエントリーに2人の名前を載せた福岡大学(平岡奈織→プレステージ・インターナショナル アランマーレ、マネージャー 河村理佳→アイシン ウィングス)。
試合前のハドルで関口キャプテンは、「思いっきり楽しんでいこう」と声をかける。ベンチ入りした12人は、いずれも150cmと160cm台というサイズ感。ジャンプボールのため、センターサークルに向かう科野は162cm。惜しくも最初の攻撃権を奪うことはできなかったが、素晴らしいジャンプ力を披露する。立ち上がりは福岡大学に連続得点を許すも、#5 中村優羽が広島都市学園大学にとってのファーストシュートを決めた。高松南高校出身、全国経験ある1年生だ。同じく1年生、国体メンバーの #22 畑田玲奈(作陽学園高校)の3ポイントシュートなどで食らいつき、最初の10分間は17-18と1点ビハインドで終わる。しかし、4年連続(18回目)の場数を踏んできた福岡大学にじりじりと点差を広げられ、54-83の29点差で初戦は敗れた。
試合後、2人の4年生は対照的な表情でロッカールームへ引き上げてきた。「自分の強みが出せずに前半から波に乗れなかったので、悔しいところがたくさんありました。でも、次の試合では自分の強みは3ポイントだけではなく、ディフェンスやジャンプシュートとかいろいろあるので、次の試合では3ポイントにこだわらずにいろんな強みをしっかり生かしていきたいと思います」と関口は涙を拭う。実行に移したからこそ、また新たな課題が見え、改善すれば良い。逆に、笑顔で戻ってきた科野は高い身体能力を発揮し、いずれもチームトップの12点・10リバウンドのWダブルを達成。全国区の選手たちとはじめて対峙し、「やっぱり体の強さなど中国地方とは違うことがいっぱいあったのですごく新鮮で、でも楽しかったです」とこの経験を糧にする。バスケの技術だけではなく、人としても成長できた大切な大学生活だった。
「先生が練習メニューを考えるのではなく、4年生の2人で考えていたので、その大変さはありました。でも、しっかり自分たちの課題を考えて練習していたので、考える力が身についたなと思います」(関口)
「本当にバスケを通して、人間的に成長した部分がたくさんあると思っています。日常生活からしっかりするだとか、挨拶するだとか、ゴミを拾うだとか。チームを引っ張ってきて、その同じことを伝えようとしても、言い方や言い回しによって相手の捉え方が全然違うことを学びました」(科野)
グループステージ最終戦は12月2日(月)13:00から、初戦を迎える札幌学院大学と対戦。4年間の集大成へ向かう。
文・写真 泉誠一