新人インカレ優勝とキャプテン離脱のプラスマイナス
第74回関東大学女子バスケットボールリーグ戦が9月4日より開幕。早稲田大学は193cmの福王伶奈ら有望なルーキーを迎えた1・2年生たちが、7月の新人インカレを制したプラス面。一方、キャプテンの江村優有は5月に宇都宮で開催された3×3パリオリンピック予選でヒザの大ケガを負い、今シーズン中の復帰は厳しいマイナス面もある。
プラスとマイナスが入り交じったこの夏、「ボールマンプレッシャーをかけて、ハードなディフェンスからリバウンドをしっかり獲ること。ターンオーバーを誘発させて速いバスケットに持っていくこと」を徹底し、キャプテン代理の #32 江頭璃梨を中心に早稲田大学の軸を構築してきた。チームの特徴として、「全員点数が取れるので1人ひとりが攻め気を持って、とにかくオフェンスでもディフェンスでも攻めるバスケをしていくこと」と江頭は続け、筑波大学との開幕戦を迎えた。
「でも、初戦ではそれが全然できていなかったです」と肩を落とす結果となる。72-90と大差で敗れ、「一人ひとりが自分と戦ってしまい、全然チームとして戦えていませんでした。これからまだリーグ戦が続くので、みんなの心をひとつにできるように、コートに立っている自分がしっかりと声をかけていかなければならないです」という話を試合後のミーティングで確認し合った。
筑波大学戦で起用された8人中、2年生 #35 衣川璃来の22点を筆頭に5人が二桁得点をマーク。軽く20点は獲れる江村を欠き、その穴を埋めたい意識が強くなり、一人ひとりが自分と戦ってしまったとも考えられる。「江村がいれば、そこにみんなが合わせてプレーし、昨年までは良い形ができていました。でも、絶対的エースがいなくなった分、一人ひとりが得点を獲らなければいけないという気持ちが強くなり、そこでダメになったときにさらに慌ててしまいました」と江頭は反省点を挙げ、改善点をこう示す。
「一人ひとりの長所を生かした上で攻めていけば良いですが、気負うことで力んでしまってシュートも入らず、うまくいかなくなってしまいました。挑戦する心は忘れずに、でも、それぞれの長所をうまく合わせていければ、もっと点数を取れるようになり、絶対に良いバスケットができると思います。そこを下級生に伝えていきながら、自分もプレーで示していきたいです」
プレッシャーディフェンスを軸としながら、チーム力を高めていくことが目下の課題である。
目の前の相手をぶっ倒して、本気で勝ちに行く ── もう、やり続けるしかない!
司令塔の #13 山宮好葉や成長著しい得点源となる #1 菊地実蘭ら2年生をはじめ、新人インカレ優勝が下級生たちの大きな自信となった。しかし、「チームの中でほんの少し亀裂のような節がありました」と江頭は重たい雰囲気となった夏を思い出す。
「もちろん新人インカレで優勝したのはすごいことです。でも、新人インカレと最終的な目標であるインカレ優勝は全然レベルが違うもの。新人インカレで優勝したことで、このまま日本一になれるという雰囲気が1・2年生の中にありました。もちろん仕方のないことですが、そんなレベルで日本一になれるわけではないことを4年生たちは知っているからこそ現実を伝えました。もしかすると優勝した1・2年生たちにとっては、妬みに聞こえたかもしれません。でも、今のままでは日本一にはなれないし、言い方は悪いですが、調子に乗ったままリーグ戦を迎えてしまえばボロボロにされたまま終わってしまう不安もありました。このままでは勝てない、もっと高いレベルを意識していかなければインカレでは絶対に優勝できない、という話を下級生たちにしました」