明星大学っぽくないポイントガードはアシストで現在リーグトップタイ
加藤や岡田がBリーグヘ巣立ち、間近でプロレベルを実感してしまったせいか、3年生になると現実を知ってAチームから離れる選手も少なくない。特に昨年は新3・4年生がごっそりと抜け、下級生チームでスタートすることとなった。そんな状況下、#2 前田来飛と #10 今井弘己、「同期にも能力の高い選手も多かったので楽しみでしたが、辞めてしまったのは残念です」という原の3人が4年生としてAチームに残った。
4試合を終えた9月4日現在、原は15本のアシストを成功させて2部リーグトップタイ。「僕は昔から明星大学っぽくないガードと言われています。チームとしてひとつの違いを生み出し、それが僕の強みでもあると思っています」と、まわりを生かす希有な存在である。4試合で89点(平均22.3点)、リーグ屈指の得点力を発揮する #23 ダイラ モゼス ヨラムの存在も大きい。「2部リーグでモゼスに勝てるセンターは、なかなかいないと僕は思っています。彼に対する信頼はものすごく厚いです」と原はコンビネーションよくアシストを量産する。強力なインサイドとともに、#29 村上旦憲らアウトサイドシュートの得意な選手も多い。常にまわりに目を配ってコントロールする原は、「モゼスとシューターのバランスをもっとうまく取れれば、自分のアシスト数ももっと増えていき、チームとしても良い方向につながっていくと思います」と見通しは明るい。それも4年間大学バスケを全うすると決めた原の経験値があるからこそ成せる大きな武器だ。
「今の下級生たちは本当に能力が高く、シュートが入る選手も多く、留学生のモゼスはもちろんですが、ものすごく良いプレーヤーが揃っています。昨シーズンは下級生が主体となったことで、自分がチームを引っ張りきれなかったところが多かったです。そのために良い勝負ができていても、最後のあと1本が決まらず、気持ちの部分で負けることがありました。昨年のリーグ戦から1年間を通してその課題に向き合い、4年生が少ない中でも下級生たちが意識を高く持って練習から取り組んでいます。それを結果として現すことができるようにしていきたいです」
開幕戦は順天堂大学に75-71、直近9月3日も駒澤大学に追い上げられながらも75-70と接戦を勝ち切った姿が成長の現れでもある。1on1を仕掛けるのが明星大学の特徴ではあるが、「それだけではオフェンスで行き詰まってしまう部分がどうしてもあります。そこをガードとしても、4年生としてもチームとして解決する策を立てていかなければいけないです。それをできることが4年間の成長を示すことになると思います」と原は述べ、最後の戦いに挑んでいる。
「このラストイヤーでどこまでできるかということを大切にしています。特に、後輩たちは良い選手が揃っているからこそ1部で戦って欲しいです。そのためにも自分たちの代で結果を残して、1部に上がることができるように4年生としてもっと意識高く引っ張っていきます」
文・写真 泉誠一