昨年の1部チームにディフェンスで踏ん張ってつかんだ初勝利
関東大学オータムリーグ2部の開幕から2連敗していた上武大学が、3戦目の江戸川大学に76-58で初勝利を挙げた。昨年は7位と振るわなかった上武大学に対し、1部から降格してきた江戸川大学は開幕2連勝し、1年での返り咲きを狙う。「自分たちは続ける力が弱くて、2連敗してしまった」と上武大学のキャプテン #11 志田涼介は言い、課題は明確である。3戦目を迎えるまでの約1週間は「とにかくチームのスタイルをやり切るところにフォーカス」し、江戸川大学戦に向けた対策を練ってきた。
第2クォーター開始早々、上武大学が勢い良く抜け出す。しかし、ミスによる連続失点から開始3分を過ぎた時点で20-19、1点差に迫られる。江戸川大学 #13 大出雅輝をキープレーヤーとして警戒し、簡単にシュートをさせないようにディフェンスを徹底する作戦だったが、逆の展開になってしまった。なかなか得点が決まらない時間帯こそ、「その前のディフェンスを徹底してリバウンドをしっかり取って、良い形でオフェンスにつなげることをチームとして意識していました。それができたことで、相手に流れを渡すことなく踏ん張れたかなと思います」と志田は述べ、原点に立ち返って巻き返しを図る。
ディフェンスで相手の勢いを切り、#36 小川大新の3ポイントシュートで34-26とし、二桁点差に開いて流れを呼び込む。後半はディフェンスから走る上武大学の一方的な展開となり、#20 深谷ナナがラインから遠く離れた3ポイントシュートを第3クォーターの終了ブザーと同時に決め、54-34と20点リード。最終結果は76-58、18点差でつかんだ初勝利を志田は素直に喜んだ。
「今までは相手チームに流れが行ったら、もうそのまま負けてしまうことが多かったです。でも、この試合でしっかり踏ん張ることができ、勝てたことはチームにとって大きな成長です。まだまだこれから試合は続くので、どんどん順位を上げてインカレ出場を目指していきたいと思います」
翌4戦目も順天堂大学を83-69で下し、2連勝。チームのスタイルを遂行し続けるベースができた。
「プロチームの練習に参加させてもらう経験ができているのも棟方さんのおかげ」
上武大学を率いる棟方公寿監督は今シーズンで3年目。横に座る小野壮二郎コーチとは、かつてのトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)でプレーしていたトップ選手同士。棟方監督はトヨタ自動車をはじめとした男子プロチームだけではなく、日立ハイテク クーガーズなどWリーグでも指揮を執ってきた豊富な経験を持つ。小野コーチは長く大学バスケに携わり、拓殖大学出身の2人が今は上武大学のベンチに並んで座っている。4年生の志田にとってはルーキーシーズンを終えたあと、新監督がやって来たことで上武大学バスケ部の空気が180度変わったことを述懐する。
「それまでは楽しんでバスケをしている感じが強かったですが……棟方さんはたぶん大学チームの中でも1番厳しく言ってくる監督だと思っています」