日本大学戦で負傷した #21 阿部千寛を欠いた大東文化大学戦では、ゲームハイの20点と活躍したが64-71で2連敗。この週末は明治大学に78-73で勝利し、長谷川は15点・10リバウンドでふたたびダブルダブルの活躍を見せる。9月1日は負けなし4連勝中の白鷗大学に挑み、71-78で惜敗。早々に阿部も復帰し、「能力もサイズもある留学生がいるチームを相手に、阿部さんと自分でしっかりとボールを持った瞬間に潰しに行って、インサイドへのカッティングに対してはウイング陣がしっかりバンプして止めて、そこからボールを奪って走ろうと話しています」と神奈川大学史上最大のビッグマンコンビが躍動する。
プログラムに記載された長谷川の身長は199cmだが、本人に確認したところ「202cm」とまだ伸びているそうだ。80kgの体重も少しずつ増やしている。身体が大きくなればプレーの幅も広がり、大学4年間を通してどんな変化を見せるのか、長い目で見守りたい。中学や高校時代から積極的に打ってきた3ポイントシュートはまだ鳴りを潜めており、今はドライブを意識しているが、ここが決まってくればオプションを増やすこともできる。
バスケIQや精神的な成長を幸嶋謙二監督は促している。うまくいかないときに、「嫌な顔をしてプレーすればチームに伝染すると幸嶋さんに言われました。まずは求められるプレーを徹底し、その中で積極的に挑戦していくこともできていたことで、調子良くリーグ戦に入ることはできました」と2勝3敗と負けが先行しているが、対等のゲームはできている。
長谷川のインスタグラムに記す名前は、長谷川比源スターソジャナー。その出自について聞けば、父は高松ファイブアローズ(現・香川ファイブアローズ)やさいたまブロンコス、SUNDAY CREWで2000年代に活躍したアイザック・ソジャナーだった。「bjリーグ時代に香川などでプレーしていて、それについてまわりの方も反応していると思います。3歳の頃に親が離婚し、その後に母は再婚しました」と赤裸々に語ってくれた。今も連絡は取っており、常にポジティブなメッセージを送ってくれているそうだ。神奈川大学へ徒歩圏内で通える長谷川は、両親の下で育まれてきた。身体を大きくしなければならない大学バスケにおいて、栄養面で心配のない実家暮らしは大きなメリットである。
プレー面では、「ディフェンス時に能力のある4番ポジションの選手は、ボールを持ったらドライブをしてきます。それに対する1対1は練習してきたので、だいぶ良くなってきました。でも、オフボールで相手がカッティングしてくるのに対して、気を抜くと簡単にやられてしまうことが分かりました。幸嶋さんが求めているバスケができればもっと良い試合ができ、勝ちにつながっていくと思います」とトライ&エラーを繰り返せるリーグ戦は、爆発的な成長につなげることもできる。はじめて同世代のトップレベルが集う戦いに身を投じているからこそ、覚悟が決まった。
「今年は4年生が素晴らしい選手ばかりで他の大学と比べても見劣りしないですし、自分たちのスタイルを遂行できれば流れを引き寄せられる時間帯も多くありました。強いと言われている大学にも通用している部分は感じており、それを40分間の中でどれだけ多く出せるかがやっぱり大事になります。個人としても相手に対策されてきた中で、それを凌駕するパフォーマンスを出せればプロに行く夢にも近づくと思っています。今シーズンが勝負だと思っているので、細かい修正点を解決していきながらチームの勝利に結びつく存在になっていきたいです」
文・写真 泉誠一