春先に行われた関東大学スプリングトーナメントでセンセーショナルなデビューを飾ったのが、神奈川大学のルーキー #34 長谷川比源だ。平均14点(総数70点)はコンゴロー・デイビッド(日本大学4年)の平均17.4点(総数87点)に次ぐ2位。留学生ビッグマンが台頭する関東大学バスケにおいて、平均11.2本(総数56本)でリバウンド王に輝いた。長谷川の加入により、長らく壁になっていたベスト16をついに突破し、6位の好成績で今シーズンのスタートを切った。
続く新人戦は優勝した東海大学に3回戦で敗れ、ベスト16止まり。その後、白鷗大学の網野友雄監督率いるU22日本代表に選ばれ、台湾で開催されたウィリアム・ジョーンズカップに出場。長谷川の母校である横浜清風高校は神奈川県内の強豪校だが、全国区ではない。高校時代に名を馳せた選手が集まる関東大学バスケにおいて、入学から約3か月の短期間でも十分インパクトを残してきた。当然、対戦相手はスカウティングし、丸裸にされた状態で迎えた関東大学オータムリーグ。だが、長谷川は課題と手応えを感じながら、しっかり前へ進んでいた。
「高校バスケが終わってから大学へ向けて準備はしてきました。相手に対策されている中でも4年生との差は当然ありますが、まずは挑戦しないと何もはじまらないです。試合をしてみて、結構通用すると思えた部分が多かったです。高校で全国大会に出て来たような相手と対戦していても臆することはないですし、ワクワクする方が大きいです。今は楽しんでバスケができています」
横浜清風高校を率いる三宅学監督は、NKKや松下電器で活躍した元トッププレーヤー。全国大会にこそ届かなかったが、「三宅先生のつながりのおかげで、帝京長岡や明成などと練習試合はしていました」と長谷川は言い、高校時代のスター選手に対する免疫はあった。神奈川大学ではリーグ戦開幕前に川崎ブレイブサンダースと練習試合もでき、「リバウンドは通用したと思いますし、バスケットカウントを決めることもできました」とプロを相手にもダブルダブルをマークし、自信を持ってリーグ戦に臨んでいる。
「スプリングトーナメントではリバウンドや得点で活躍できた分、リーグ戦ではシュートを打った瞬間に相手は当たってきます。その前のポジショニングをしっかり取れるようにしなければいけないと感じました。クローズアウトのシチュエーションで今までは3ポイントを打っていましたが、もちろん空いていればシュートを打ちますが、まずはバスケットに向かってアタックして、そこから中にいる阿部(千寛)さんにパスを出したり、自分がフィニッシュしたり、練習してきたことを出していきたいです」
8月24日の開幕戦は、拓殖大学を相手に19点・11リバウンドのダブルダブルを達成。チームも81-69で勝利。翌日はスプリングトーナメント得点王のコンゴロー擁する日本大学と対戦。まだまだ線の細い長谷川との体格差は否めず、果敢にゴールへアタックするが潰されるシーンも少なくなかった。それでも自分の役割に徹し、「全員サイズがあるチームでしたが、リバウンドで活躍することができました。フィニッシュのところでは、もう少し決められたと思います」という長谷川は13点・11リバウンドで2試合連続ダブルダブルを記録。しかし、試合は61-76で敗れ、初黒星を喫した。