海外の選手とマッチアップしたことで、長きに渡って日本で切磋琢磨する仲間たちと比較することもできた。ジャンピエールは「日本のビッグマンと変わらず、国立政治大学の選手も上手でした」とそのレベルは遜色ない。「もちろん日本にいるビッグマンもスキルはあります。でも、海外の選手はプレースタイルが違いました。その新しい経験ができ、学べる機会になったことが楽しいです」とモンガが言うように、特徴を熟知する日本のライバルとはまた違った相手との対戦は刺激的だった。
日本で活躍するビッグマンたちも将来はBリーグを目指すが、登録は外国籍選手となるために狭き門である。現状は留学実績選手の枠があるB3リーグへ進む選手が多い。または企業チームへ就職し、帰化申請が通った後にBリーグへ進んだカロンジ磯山パトリック(神戸ストークス)やモッチ・ラミン(シーホース三河)などのようなケースもあり、今後の活躍が留学生たちの希望となる。バスケだけではなく、文武両道で勉強にも力を入れる選手は多い。
ラストシーズンを迎えたジャンピエールは先々を見据え、3ポイントシュートを練習してきた。国立政治大学戦ではピック&ポップから放ったシュートは外れたが、フリーとなった第4クォーターにしっかりと決めて見せた。「これからリーグ戦でどんどん打っていきたい」とジャンピエールが外に広がることで、日本体育大学のバスケもまた進化しそうだ。
昨年のFIBAワールドカップと先ほど終えたオリンピックに出場した南スーダンをはじめ、アフリカンバスケが世界で飛躍しはじめている。規律正しいプレーかつ洗練されたスタイルが魅力的であり、脅威でもある。南スーダンを率いるロイヤル・アイヴィーヘッドコーチは、ヒューストン・ロケッツのアシスタントコーチ。脇を固めるNBAオールスターのルオル・デン、そして日本でもプレー経験あるジャーフロー・ラーカイのコーチ姿に驚かされた。他にも、京都ハンナリーズのロイ・ラナヘッドコーチはエジプト代表を、ライジング福岡や秋田ノーザンハピネッツを指揮したジョゼップ・クラロスヘッドコーチはアンゴラ代表を率い、日本に縁あるコーチがアフリカでも活躍している。
アフリカの血を引く選手たちが極東で活躍していることは、それぞれの故郷に届いているのだろうか。WUBSを通じて発信され、留学生にとっては小さな日本に留まることなく、世界へ羽ばたくきっかけになれば良い。
文・写真 泉誠一