なるほど、互いの長所がわかっているからこそ、自分の足りないものに気づくことができる。おそらく日々の練習で与え合う刺激も大きいにちがいない。
「高校時代に見てきた賢人のすごいところを今は毎日目の前で見られるわけじゃないですか。それは絶対自分の成長にもつながると思っています」(佐藤)
「それは僕も思います。いい刺激をもらいながらこれからも切磋琢磨していきたいです」(赤間)
コートを離れたときの互いの印象は「普段の賢人は多分みんながイメージするのとほぼ同じ。どちらかと言えばおとなしいですね」(佐藤)、「友はにぎやかっていうか、よくしゃべるので、先輩たちとも上手く絡んでるなあと思います」(赤間)と、性格は対照的らしい。だが、東海大に進学した理由について尋ねると「僕がこれからバスケを続けていく上で一番成長できる環境、一番成長できるチームだと思ったから」(赤間)、「バスケット選手として自分の夢を叶えるために自分が足りない部分を一番成長させてくれるチームだと思ったから」(佐藤)と、ともに将来を見据えた答えが返ってきた。
今大会MVPに輝いた轟によると2人の伸びしろはまだまだ大きいという。
「友は身体能力が高くて、リバウンドも強いし、ゴール下のプレーに安心感がある。賢人は外のプレーだけじゃなくてハンドリングもいいので何でもできるというイメージ。この新人戦は彼ら1年生に思いっきりやらせると決めていましたが、友はいつもいてほしいところにいてくれたし、賢人はここで決めてほしいというところで決めてくれたし、本当に頼りになりました。リーグ戦やインカレを勝ち抜くためにも絶対必要な選手たちなので、さらなるステップアップに期待しています」
大学バスケシーズン開幕を告げる4月のスプリングトーナメントで、東海大はベスト8の壁を破れなかった。それだけに新人戦のために上級生たちが費やした熱量はとてつもなく大きかったと聞く。
「キャプテンの(大久保)颯大さんをはじめ、みんながいい意味で厳しいことも言ってくれたし、練習も本気で向き合ってくれました。(攻守ともに)3、4年の圧を経験できたからこそ本番は余裕を持って戦えたような気がします」(轟)
轟がそう語った思いは、佐藤も赤間もきっと感じていたはず。「自分が一番成長できるはず」と進んだ東海大で、先輩たちに揉まれながらどんな選手に育っていくのか。まずは7月8日~14日に北海道で開催される第2回全日本大学バスケットボール新人戦(新人インカレ)に注目したいところだが、長いシーズンは始まったばかり。先輩たちが口をそろえる『地獄の夏合宿』を経た先にあるオータムリーグ、さらには日本頂上決戦のインカレの大舞台で一段とたくましくなった “次代のエースたち” を見てみたいと思う
文 松原貴実
写真 泉誠一