関東大学スプリングトーナメントで2連覇を果たし、今シーズンこそすべてのタイトル獲得を目指して幸先良いスタートを切った日本体育大学。しかし昨年同様、関東大学バスケットボール新人戦で優勝を逃してしまった。常に優勝を目標に掲げることで練習に対する意識が変わり、自ずとモチベーションも高くなる。決勝まで勝ち進めたのは実力の表れであり、東海大学に69-84で敗れたのは運がなかった。すべてのタイトル獲得は実現できくなくなったが、「これから新人インカレがある。そこでこの悔しさの借りを返して、日体大らしく勢いに乗って行こう」と藤田将弘監督は敗れた後、すぐさま選手たちの士気を高めた。
その言葉に、ルーキーの #11 山口瑛司は「自分もしっかり勢いに乗って、チームを引っ張っていけるようにがんばりたいです」と顔を上げる。関東大学スプリングトーナメントではさほどプレータイムはなかったが、今大会はシックスマンとして出番がめぐってきた。臆することなくプレーし続け、準決勝以降は30分以上もコートに立ち続けた。
「今大会がはじまる前に捻挫をしてプレーできない時期があったため、チームに迷惑をかけてしまいました。試合に出たらその借りを返そうという思いでプレーしていました。高校のときとは違って、時間の使い方が大切になってきます。ガードとして、ディフェンスでもオフェンスでも良い終わり方ができるような声かけは意識していました」
決勝戦、マッチアップする東海大学 #10 ルーニー慧に4本の3ポイントシュートを決められた。「交代で出るときにもっとディフェンスで流れを変えたり、やるべき自分の仕事があったりした中で、それを全うできなかったのが本当に悔しいです」と山口は反省点を挙げ、相手を勢いづかせてしまった。福岡第一高校の先輩である轟琉維がドライブを仕掛けてきたときは身体を張って止めており、良いディフェンスも随所に見られていた。「ガード陣がもっと相手に圧をかけて、向こうにミスを起こさせていたら、もっとチームの助けになったと思います。1本の3ポイントを抑えられていたら、自分たちにも流れが来たと思ったので、そこがまだまだ自分の甘さだと感じました」と山口は、より良いディフェンスをイメージする。
一方のオフェンスは、「先輩方からもっと狙って行って良いと言わていましたが、消極的になる分が多くて、パスに逃げてしまいました」というとおりのプレーだった。がんばればなんとかなるディフェンスと、チームのシステムを理解しなければならないオフェンスでは、入学まもないルーキーにとって後者は難しい。しかし、成長するための大きな余白であることを山口も実感しており、「得点を狙いつつアシストも狙ってまわりを生かしながら、良いバランスでチームをコントロールできるようにしたいです。チームにアジャストできれば、もっと強くなると思います」と自信を得ていた。ファイナルまで勝ち進んだことで見えたこともある。