「プロに行くんだ」と強く思ったことで変わった意識と練習の質
2021年、関東大学ルーキーズトーナメント(新人戦)を優勝した大東文化大学。チームメイトの山内ジャヘル琉人、ライバルとなった筑波大学の小川敦也(現・宇都宮ブレックス)や専修大学の淺野ケニーと高校時代からの全国区であり、早くもBリーグを経験する同級生を抑えて、大東文化大学の富山仁貴が新人王に輝いた。2年生となった翌年、1・2年生による日本一決定戦 “新人インカレ” が新設され、そのプレ大会でも頂点に立つ。選抜された国体こそ経験はあったが、高校まで所属するバスケ部が全国大会へ出場したことはない。2年前、淡路島出身の新星は一躍スポットライトを浴びた。
子どもの頃の夢は「先生になりたかった」。新人王に選ばれ、「漠然とですがプロを目指せるのかな」と沼にハマる。夢はいくつでも見れば良い。しかし当時は、あまりにも漠然としすぎて、「プロに行っても何ができるのか、そもそも行けるのか」と不安ばかりが募る。まだ覚悟が決まっていなかった。
「プロに行くんだ、と強く思わなければ、日頃の練習から意識も上がらないことに気づきました。覚悟を決めたことで、チームにとっても個人にとっても常に上を目指し、ステップアップしていくことができています。Bリーグには外国籍選手がいることで、今の自分とポジションもかぶるので3ポイントの確率を上げたり、フィジカルで負けないようなトレーニングをしたり、自主練も常にプロを意識しています」
明確にプロを目指して努力を重ねて迎えた大東文化大学でのラストイヤー。「一つひとつのプレーの精度やシュートの確率を上げるのはもちろんですが、それよりもまずはチームとして結果を残さなければ、(プロチームの)目にも止まらないと思っています。チームを第一に考え、まずはコミュニケーションを意識して積極的に声をかけるようにしています」と目標から逆算してできること、やらなければならないことに向き合っている。
主力不在によって積み上げてきた成果が見られ、「後輩たちの成長がうれしい」
結果を求めて臨んだ、4年生として最後の関東大学スプリングトーナメント2024(以下スプリングトーナメント)は3位に終わった。山梨学院大学に83-74で勝利した3位決定戦で富山は、14点・9リバウンドと活躍。3ポイントシュートは2/7本、この確率を上げることが課題のひとつ。大東文化大学として、昨年の5位よりも成績では上回った。チームを支える山内ジャヘルと3年生の田中流嘉洲が、昨シーズンからケガで欠く状況にも関わらず、である。
「彼らは今大会も応援席から声を出してくれていますが、コミュニケーションを取ることや盛り上げることに長けています。それがコート上で今はない分、やっぱり自分たちがコミュニケーションを取って、声を出していかなければならなかったです」