「去年優勝したこともあって順調に決勝まで勝ち進めましたが、2連覇のプレッシャーも実は大きかったです。でも、そのプレッシャーを、バスケを楽しむことに変えられたことが優勝につながったのかなと思います」
第4シードで出場した昨年のインカレ初戦、筑波大学と延長にもつれ込む熱戦の末、73-75で敗退。これがひとつ前の大会であり、鮮明に残る悔しさが2連覇への原動力となった。大森は「昨年の4年生を勝たせられなかった後悔があり、逆に今年は自分が4年生に上がって、後輩たちを勝たせたいという気持ちが強くなりました」と仲間を思ってチームを引っ張る。全員で勝つための試行錯誤を繰り返し、個人練習の質と量も高めた。優勝を目指して強度を上げてきた成果が、ひとつ実を結んだ。
3・4年生の次の戦いはオータムリーグまで期間が空く。“全部獲る” 日本体育大学の目標のうち、2つの大会は後輩たちに委ねられる。昨年のスプリングトーナメント優勝後、続くルーキーズトーナメントは3位に終わり、新人インカレは初戦敗退。「気持ちの面でみんなが落ち込んでしまっていました」と大森はその反省を活かす。
「1・2年生だけではなく、3・4年生も協力しながらチーム一丸となって勝つことを意識していきます。関東新人戦も新人インカレも勝って、その勢いをつけたままリーグ戦、そしてインカレに臨むことができれば、自ずと5冠が獲れると思います」
2年前の新人戦を制し、スプリングトーナメントは2連覇達成。3年間で3度の優勝を経験し、勝者のメンタリティーを育んできた。5月17日からはじまる第47回李相佰盃には2年生の小澤飛悠が選出され、#41 石川響太郎は三遠ネオフェニックスの練習生として高いレベルを体感。大森もプロの練習に参加して得たものを還元し、チームとしてレベルが上がっていることを実感する。一方、「勝って当たり前の驕りの部分が出てきてもいます」と気を引き締め、1日1日を大切にしながら成長を続ける。
シックスマンとして勢いづけた大森は、決勝で16点を記録した。プロ志向があり、その環境を垣間見たことで、「得点を獲ることによってチームに貢献できることが大きい」ことを気づく機会となった。チーム内の競争も激しく、プレーの積極性が増し、それぞれが存在感を示すようになった日本体育大学は層の厚いチームへと進化している。
文・写真 泉誠一