「オレがいなくても、絶対に勝つと思っていた」MVP ムトンボ ジャンピエール
関東大学スプリングトーナメント2024は、日本体育大学と専修大学が決勝へ駒を進めた。卒業した先輩やBリーグへ行く仲間がいれば、期待の新入生を迎えたばかり。まだ安定していないチームも多く、ケガ人も目立つ。その中において、大きく主力が変わらない両チームが優勝を争うのは、下馬評どおりでもあった。結果は84-75で日本体育大学が勝利し、2連覇達成。4年生になった #23 ムトンボ ジャンピエールは、2年連続のMVPを受賞した。
しかし、当の本人は「オレじゃないと思っていた」と目を白黒させる。平均11.2点(合計56点)は10位、リバウンド9.4本(合計47本)は昨年より少ない。初戦で足を痛めたことでプレータイムが制限され、決勝は約26分の出場だったことも驚きの理由である。ルーキーズトーナメント(新人戦)を制した2年前はゴール下を一人で奮起していたが、昨年から加入した #1 コネ ボウゴウジィ ディット ハメードが19点を挙げ、専修大学を突き放す原動力となった。その活躍を「メッチャうれしかった」とムトンボは自分のことのように喜んでいた。
20得点・20リバウンドと大黒柱として、ムトンボがひとり気を吐く試合がこれまでは多かった。だが、新チームで優勝を飾った最初のトーナメントは、「みんながリバウンドも得点面でも、がんばってくれた。オレがいなくても、絶対に勝つと思っていました」と頼もしい仲間たちの存在もまたうれしい。
ムトンボ自身もゴール下だけではない、ウォームアップ中はキレイな放物線を描くシュートを何本も決めていた。「それはリーグ戦でお見せします」と新たな武器に磨きをかける。昨年に続き、目標は「全部獲る」とムトンボは力を込める。ルーキーズトーナメント、新人インカレ、リーグ戦、そしてインカレの5冠達成を実現するためのスタートラインに立った。
「得点を獲ることによってチームに貢献できることが大きい」大森尊之
試合中は選手のプロフィールや過去成績などを調べるため、幾度となく大会プログラムを手に取る。表紙には昨年のベスト8チームの有力選手が並ぶ。センターを陣取る日本体育大学の顔はMVPのムトンボでも、#3 土家拓大キャプテンでもなく、幾度となく目に止まったのは #9 大森尊之だった。
決勝の第1クォーター序盤、専修大学に6-8と逆転された場面で、シックスマンの大森に出番が回ってきた。コート狭しと走り回っていきなり4連続得点を挙げ、日本体育大学に流れを引き寄せる。シュートを決めれば大きな声で吠えてチームを鼓舞し、表紙のセンターを飾る納得の活躍を見せた。「あれは気分が乗っちゃって出ちゃいました」と照れ笑い。吠えるパフォーマンスは、自らも奮い立たせていた。