今夏のインターハイでベスト8進出を果たし、ウインターカップではさらなる躍進も期待された聖和学園。無事にベスト8に駒を進めることはできたものの、12月26日の準々決勝の相手は大会連覇を狙う京都精華学園。大会後にアーリーエントリー選手としてWリーグに進むことが既に決定している堀内桜花とディマロ・ジェシカを擁するなど、今大会も優勝の最有力候補と目されるだけあって、試合は難しい展開を強いられ、最終スコアは57-84という完敗だった。1年時からスターターを任され、今夏にはU16日本代表にも選出された2年生の阿部友愛は悔しさをにじませる。
「高さのミスマッチがある分、自分たちはスピードのミスマッチを生かして、リスタートを早くして攻めなきゃいけなかったと思うんですけど、だんだん脚が止まってきちゃって、切り替えを早くして攻めるということができなくなりました。ミスが増えたことで逆に速攻でやられるシーンも増えて、点差が離れてしまったと思います」
留学生の高さという絶対的な武器を持つ相手に対し、平面で勝負を挑むバスケットは聖和学園がこれまでに積み重ねてきたものだった。ただ、京都精華ほどの強豪ともなれば、それを簡単に許してはくれないことも確かなのだが、阿部は相手の上手さ以上に、アグレッシブな姿勢が足りなかったと自分を責める。
「ゴールに向かうというところは忘れずにやっていきたいと思っていても、『もっといけたな』って悔いが残っちゃうということは、やっぱりやりきれてないっていう証拠だと思うし、相手のディフェンスがどうとかじゃなくて、自分の気持ちの問題だったと思います」
40分という試合時間の中で、ほんの一瞬の隙が命取りになり、大きな点差につながってしまうこともあるのがバスケットの怖さ。前半で25点差がついてしまっても、聖和学園は戦う姿勢を見せることはでき、後半の20分間はほぼ互角に渡り合うことができたが、重要なのはそれを1試合を通じて見せ続けなければならないということ。それをこの試合で改めて痛感させられた阿部の口から出てくるのは、反省の弁ばかりだ。
「20点差離れてもやりきろうという気持ちはみんな持ち続けてやれていたと思うので、留学生に対する体の当たりを最初から徹底して、みんなで声をかけ合って、リバウンドも全員で入って、みんなで走るということをもっと最初からやれていれば、良い試合ができたのかなと思います。少しでも引いてしまうと、そこの隙を突かれてしまうところがあると思うので、『やるぞ』という気持ちを全員がどれだけ持ち続けられるかが大事だと思います。今日は、積極的にいく気持ちが足りなかったなと思います」
その一方で阿部には、このチームの一員として戦うことに対する誇りや喜びもあった。仲間がいることの心強さを感じるとともに、進路に聖和学園を選んだ自身の選択が正しかったということを実感している。
「今日は自分がシュートを打てない部分も多かったんですけど、周りの1年生や先輩方が果敢にアタックして点数を取ってる姿を見たら、みんながいるから強いんだということをすごく感じました。来年またここに戻ってきて、ベスト8という壁を破れたらいいなと思います。
自分は1年の頃からスタートとして出させてもらっていたので、こういう場に立てていることにすごく感謝してます。心愛と離れて、聖和では1対1を多くやらせてもらっていて、その技術は少しずつ伸びてきていて、聖和に来て良かったなってすごく感じています」