逆転につながらなかったが作戦どおりだったラストプレー
早稲田大学として、2年ぶりのインカレ(第75回全日本大学バスケットボール選手権大会)ベスト4入りを懸けた準々決勝は、拓殖大学と対戦。第1クォーターを終えて33-33、前半もそのまま57-57と同点が続く。しかし後半、#55 ンウォコマーベラス アダクビクター、#28 狩野美里ら拓殖大学の強みを活かし、第3クォーターを終えた時点で83-74と点差が開いた。最終クォーター、早稲田大学は1年生 #13 山宮好葉の3ポイントシュートで点差を詰める。開始3分、エースの #23 江村優有が決めたシュートで85-85と振り出しに戻した。残り3分には江村が速攻を決め、94-88とした早稲田大学が6点リードしていた。決着がつくまでの3分間を、#32 江頭璃梨が冷静に振り返る。
「向こうには留学生(アダクビクター)と4番ポジションの狩野さんも結構大きく、自分たちと比べると身長差が結構ありました。そこに対するボックスアウトの徹底とリバウンドの本数で相手にオフェンスリバウンドを何回も獲られ、セカンドチャンスで何回も点数を決められてしまいました。1試合を通してそこをずっと課題として言われていたのに、最後のあの競った場面で最終的にリバウンドを獲られてしまったことが敗因でした」
残り15秒、アダクビクターの得点で96-97、拓殖大学に逆転される。早稲田大学はタイムアウトを取り、まだ十分時間のある次のオフェンスを組み立てる。逆転を目指すポゼッションに対する内容を、江頭はこう明かす。
「#1 菊地(実蘭)が留学生にマッチアップされていたので、まずそこを攻めよう。また、優有のところにボールを入れても絶対にダブルチームで来るだけなので、そこはおとりにして、ボールをもらった人が積極的に行こうと話しました」
ハーフコートからゲームは再開し、ボールを受けたのは #7 西ファトゥマ七南。積極的にゴールへ向かったが、相手のディフェンスに阻まれる。そのままターンオーバーとなってしまった。結果は96-101で早稲田大学は敗れ、ベスト4には届かなかった。もちろん、積極的にプレーした西を咎めるチームメイトは誰もいない。「ボールを持った人が攻めようと話していたので、もう仕方ないです」と江頭が言うように、得点にこそつながらなかったが作戦どおりだった。逆に、頼もしい後輩たちの台頭に、敗れた中にも自信が芽生えていた。
本当に来年こそ、日本一の景色を見たいな
今年5月に行われた第57回関東大学女子バスケットボール選手権大会で、江村は平均24.2点で得点王になった。チーム2番目に得点を挙げた江頭は平均10.4点であり、エースの活躍が群を抜いているのが早稲田大学の特徴でもあった。しかし、それはもう過去の話。インカレでは、2試合総数39点を挙げた1年生の菊地がチームハイ。江頭が35点で続き、江村と西は31点とそれぞれのポジションから得点が獲れるように変化が見られた。