トヨタ自動車アンテロープス入りが決まった小野寺佑奈の背中を追って
大阪薫英女学院出身の宮城も、大阪人間科学大学へ進む選択肢はあった。「関西1位のチームに行こうと思っていましたが、やっぱり関東のレベルに挑戦してみたいという思いもありました。悩んだ末、その挑戦したい思いが上回り、またプロに行きたいという目標もあって決めました」と腕試しのための上京を決意する。
ロスターを見ればフォワード登録になっているが、実際に試合ではポイントガードも担う。「今年のリーグ戦あたりから木下(佳子)監督が、(小野寺)佑奈さんの代わりにガードとして起用をしてくれています。自分が今できないことなどにも挑戦させてもらっています」と宮城は、将来のWリーグ入りを見据えてプレーの幅を伸ばす。アーリーエントリーで、すでにトヨタ自動車アンテロープス入りが発表された4年生の #3 小野寺の背中を追いかける。
「小野寺さんみたいにパスの精度や自分で切っていく部分やったり、人を使うことがまだできていない状態なので、そこをもうちょっとパスでまわりを使えるようにしていけるようにしたいです。あとは、もっと指示ができるようにしていけたらいいなと思っています」
宮城から見た小野寺先輩は、「1on1の技術などスキル面がとても上手です。練習でも、ずっと1on1の相手をしてもらっています。対等にやりあえることを目標にしてきました」という成果が少しずつ見られたことで、試合でも通用しはじめている。安藤コーチが今年の成長を評価していたことを伝えると、その取り組みについて話してくれた。
「昨年もそうですが、リーグ戦を通してできることが少しずつ増えてきました。ストップしてからジャンプシュートを打つ技術がなく、これまではなかなか打てなかったです。ディフェンスをはがしてシュートを打つことを練習の中から意識して取り組んでいました。得点を獲る力をつけたかったので、そこを少しはインカレでも見せられたかなと思います」
翌日、10連覇中のディフェンディングチャンピオン・東京医療保健大学に挑む。リーグ戦では2連敗したが、「1周目は日体のディフェンスができていたからこそ、そこまで点差が広がらなかったです(●64-70)。明日もディフェンスとボックスアウトをしっかり徹底して、そこからオフェンスにつなげていきたいと思っています。1on1の面でも、関東で1位の白鷗大学や東京医療保健大学にも得点は獲れていました。明日も気持ちで負けずに、1on1を仕掛けてどんどん得点を獲っていきたいと思います」と意気込みを語る。しかし、結果は55-82で敗退。宮城は、前日とは打って変わって4点に終わった。8本打った3ポイントシュートはすべて外れてしまったが、誰よりも多く放ったこの数字が、強い気持ちで向かって行った証である。
トヨタ自動車へ進む小野寺に出場チャンスが来れば、そこに重ね合わせるようにWリーグでのプレーをイメージしながら宮城の課題も見出せるはずだ。まだまだ先輩の背中を追いかけ、そして追い越せるように邁進するのみである。
文・写真 泉誠一