「楽しく点数を獲ってプレーできていました」嘉数啓希
嘉数とポーグについて、「良くも悪くもバランスを取る選手たち」と紹介する網野監督。#25 ジョエル モンガ(202cm)と#45 シソコ ドラマネ(203cm)のインサイド陣を誇ることで、大型チームというイメージがある。「筑波大学や大東文化大学、日本大学と比べると4番ポジションのサイズと運動能力は少し劣ってしまう」と網野監督が言うように、全体を見ればけっして大きくはない。
190cmの嘉数と188cmのポーグがマッチアップする筑波大学の #28 浅井英矢は197cm、代わって入る #19 間山柊も195cmと身長差が生じる。「前半はまぁまぁ普通に守れていたかなと思うんですけど、後半の最初にマッチアップしていた相手にAND1(バスケットカウント)を決められ、相手に流れを持っていかれてしまったのは反省点です」と嘉数は言う。前半は浅井を抑えることができていた。しかし、後半の最初から起用された間山を守り切れず、すぐさまポーグと交代する。
「とにかくギャンブルしないこと、手を下げないこと」を網野監督は、ディフェンスの約束事として練習してきた。間山に対し、「最初は抜かれたときに手を出してしまって、ファウルを取られていました。その前にパスを入れさせないように意識し、フィジカル面で守り方を変えました」というポーグは網野監督からの指示を思い出す。鍛えてきた体格をフル活用し、筑波大学の攻撃を潰していく。しかし、ポーグはこの日のパフォーマンスに満足していない。
「白鷗大学を背負えるほどのディフェンスは、まだできていないです。でも、春のトーナメント(第72回関東大学バスケットボール選手権大会)や夏のWUBS(World University Basketball Series)と比べれば、絶対に向上していると思います。インカレに向かって、もっとディフェンスができるようにがんばっていきたいです」
続いて網野監督に4年生の嘉数について聞けば、「すごく良いものを持っており、チームのバランスを取ることができる必要なピース。その分、脇役になりすぎてしまっている」と回答。オフェンスではスクリーナーとなって味方を援護し、ディフェンスではポーグ同様にフィジカルを武器に体を張る。嘉数自信は、「チームの中ではディフェンスができない方」と課題として捉えており、リーグ戦は相手に抜かれないことをまず意識していた。
翻ってオフェンスは平均4点。得点を獲れるタレントがおり、仲間を活かすのも嘉数の役割だ。しかし、網野監督は「もう少し貪欲にシュートを狙ったり、ドライブしたりするプレーができるともっと良いのになぁ」と積極性を求めている。この夏はUTSUNOMIYA BREX.EXEの一員として3×3に出場し、「そのときは3ポイントシュートを結構決めることができ、楽しく点数を獲ってプレーできていました」と積極的な一面が見られている。網野監督の期待に応えるためにも、「3ポイントシュートの精度をもう少し高く決めていければ、自分もチームももっと上向いていくと思っています。オフェンスでもっと積極的に絡んでいきたいです」と嘉数自身も課題としていた。約1ヶ月後のインカレで2年ぶりの日本一を目指すためにも、まだまだ成長を止めてはならない。
文・写真 泉誠一