「コートに出たときは自分の最高のプレーを出せるように」ポーグ健
関東大学オータムリーグ2023の最終日を迎える前、14勝4敗の白鷗大学が首位に立っていた。13勝5敗の1ゲーム差で追う日本体育大学は直接対決で2連勝しており、勝率で並べば逆転優勝のチャンスが残っている。白鷗大学は7位が確定していた筑波大学と、日本体育大学は1ゲーム差で迫る4位の専修大学(12勝6敗)と、隣合わせのコートで両チームのラストゲームがはじまった。
先に試合を終えた白鷗大学が90-70で勝利し、混戦を抜けだして2年連続2度目の優勝を飾った。日本体育大学は専修大学に73-80で敗れ、これにより順位が入れ替わる。専修大学が準優勝、3位日本大学、4位日本体育大学はいずれも13勝6敗。5位東海大学と6位大東文化大学は1勝少ない12勝7敗であり、上位チームの実力差は拮抗していた。
白鷗大学vs筑波大学は立ち上がりから #7 星川開聖や #31 小川敦也らが積極的にゴールを奪い、第1クォーターは21-20と筑波大学のリードではじまった。白鷗大学の先発を担う #71 嘉数啓希は「相手の方が大きいので、練習中からリバウンドを徹底してきました。しっかりディフェンスをしてリバウンドを獲り、そこからブレイクを出すことを意識していました」と慌てず、チームコンセプトに則ったプレーを心がける。ディフェンスで相手のリズムを崩した白鷗大学が、前半終了時点で41-35と逆転に成功。先発メンバーだけではなく、交代で入るベンチメンバーがハッスルし、流れをつかんで行った。
「もちろん優勝がかかっている試合なので、みんなも気合が入っていました。でも、関東1部リーグはスタメン5人だけの活躍では絶対に優勝することも、ベスト4にだって入れないと思っています。チーム力を高めるためにはベンチメンバーがプレータイムの長さに関係なく、コートに出たときは自分の最高のプレーを出せるようにずっと意識していました」
そう話すシックスマンの #36 ポーグ健は、後半だけで4本の3ポイントシュートを決め、90-70と20点差をつけて快勝したこの試合のキープレーヤーとなった。「自分の武器は3ポイントシュートなので、パスが来たら打つというマインドはずっと持っていました。今日は脇(真大)さんや(佐藤)涼成らガード陣がメッチャ見てくれて、良いパスを出してくれました。そのおかげでシュートを打つことができ、そして決められたのが良かったです」と優勝に貢献できたことを喜ぶ。
リーグ開幕前、網野友雄監督は「一番成長できるチームになろう」と選手たちに伝えていた。2年次だった昨年のポーグは3試合しかベンチに入れず、そのうち出場したのはたったの2試合。出場時間も合計5分程度で、「練習しかできない状況でした」と悔しい1年だった。しかし、今年は平均約18分間出場し、6.5点に飛躍する。「自分の武器である3ポイントシュートを、ディフェンスがいなければ躊躇なく打つことが使命というか、やらなければいけないことだったので、そこは成長したかなと思います」とチームの目標にコミットできた。プレータイムは与えられるものではなく、勝ち獲るもの。その努力の成果が出場時間などのスタッツに表れていた。