「途中から得点を獲るメンバーが戻って来たことで、自分自身が得点に行く自信がなくなってしまいました。まわりの選手が獲った方が良いと思ってしまう時期があり、そのときに試合に出ていないメンバーが声をかけてくれたり、一緒に練習を付き合ってくれたり、いろいろと励ましてくれました。そのおかげで最終戦は、最初はなかなかシュートが入らなかったですが、それでも『あきらめずにずっと打ち続けろ』と声をかけてもらい、まわりのみんなのおかげで自分を取り戻せることができました」
最終週はシックスマンに戻った田中は、山梨学院大学戦で18点を挙げ、追い上げる相手を振り払う活躍で勝利に貢献。迷いを払拭できたキャプテンは、次なるインカレへ照準を合わせる。
「自分の考えでは、やっぱり気持ちが強い方が勝つというのが一つあります。今はまだ、試合に出られない選手にとっては複雑な思いがあり、100%の気持ちで試合に向き合えていないのも現状です。そこをキャプテンとして、全員が同じ気持ちで戦う意識を高く持っていけるようにサポートし、全員で勝てるようにしたいです」
主に試合に出る4年生は田中と#81 森岡奈菜未の2人であり、筑波大学の主力は3年生以下の選手たち。「リーグ戦を通して後輩たちの得点力や勢いのあるプレーは、自分たちの持ち味にもなっています。すごく良いプレーもたくさんしてもらっているので、そこは引き続き思いっきりやってもらいたいです。もしミスしても、どんどん声をかけて、まだまだやれると背中を押していきたいです。4年生は出ていない選手も多いけど、落ち込んでいたら前向きな声をかけて、みんながチームに貢献できたらいいなと思います」というキャプテンは、東京医療保健大学に勝利したとき同様に強い気持ちを持たせ、同じ方向を向かせる。インカレを制して日本一になる目標とともに、「バスケ以外の部分でも日本一のチームになれるように今年こそ、その目標を達成したいです」。
得点力だけではなく、前線からプレッシャーをかけるディフェンスやルーズボールに飛び込む泥臭いプレー、笑顔で仲間を励ますリーダーシップ。これまでも常にコートで見せ続けてきたこれらの振る舞いが、田中の魅力である。
文・写真 泉誠一