「真面目に一生懸命やっている、それに尽きます」西尾吉弘監督
関東大学オータムリーグ1部に属する14チーム総当たり1回戦で行われている1巡目。唯一、無傷の8連勝で首位に立つのが大東文化大学である(※9月20日現在)。先週末(9月16日・17日)の天皇杯1次ラウンド東日本大会にも参戦し、こちらも3連勝でBクラブが待つ2次ラウンド進出を決めた(9月22日開幕・JBA公式YouTubeで配信 https://www.youtube.com/c/JBAstream)。好調の要因を西尾吉弘監督は以下のように答える。
「選手それぞれがやることをしっかりと徹底できています。真面目に一生懸命やっている、それに尽きます。メチャクチャまとまりのあるチームではないですが、それぞれがやることを明確にして、単純にプレーできているのがうまくいっているところだと思います」
役割を与え、それを遂行する。まるでトム・ホーバスヘッドコーチが魅せた男女日本代表のようである。ディフェンスには定評がある大東文化大学であり、ビッグマンの存在によりインサイドも強い。それに加え、「今はトランジションで走ることを取り入れ、それがうまくマッチしている感じです」と西尾監督はベースを築きながら上乗せしていた。
8連勝と波に乗る大東文化大学だが、ケガ人も多い。リーグ開幕前に田中流嘉洲(2年)が前十字靭帯をケガし、長い期間の戦線離脱は大きな痛手となった。9月6日の江戸川大学戦以降、シューターの廣岡大翔(2年)もケガで欠く。天皇杯ではアブドゥレイ トラオレ(2年)と富山仁貴(3年)が負傷し、主力や期待する4人が不在のなかでも8連勝、天皇杯を合わせれば11連勝している。
西尾監督は「ケガ人が出ても崩れないように、日頃からチームを作っています。今日(9月20日の中央大学戦)もメンバーがいないなかでもよく戦ってくれたと思います」と常に準備し、選手層の厚さも手伝って快進撃を続ける。
「『この勢いを止めない』というみんなの意識が高く、それが連勝している大きな理由」山内ジャヘル琉人
選手の立場から山内ジャヘル琉人に、同じく今の強さの秘訣を聞いた。
「精神的な部分で『この勢いを止めない』というみんなの意識が高く、それが連勝している大きな理由になります。技術的な部分では、大東文化大学の持ち味であり、ベースでもあるディフェンスとルーズボールを毎試合しっかり遂行できていることが、連勝につながっていると思います」
「この勢いを止めない」部分をさらに山内はこのように説明する。
「流れの悪いときの問題について、コート上の選手同士で話し合えています。また、ベンチから交代する選手たちも、そこを意識してプレーできています。みんなで良い流れをつなぎ、悪ければみんなで断ち切ろうという意識があります」
山内の役割は「このチームの主力として1番スコアし続けること」。ディフェンスやリバウンドなどは当然であり、さらに積極的にゴールへ向かう。今夏、U22日本代表としてFISUワールドユニバーシティゲームスに出場し、「本当にフィジカルでバスケをするスタイルのチームばかりで、海外の選手はガンガンガンガンアタックし、もう躊躇しないでシュートしていました。今までを振り返れば、ちょっと躊躇してしまっていたので、迷いなく積極的に攻めながら自分のリズムを作る。それによって、自分のプレーも確立できる。そのイメージを持って、国際大会で見たいろんな選手のプレーをマネしようと思いました」と刺激を受け、リーグ戦から実践している。
精神的な強さと、伝統であるディフェンスなど泥臭いプレーを徹底しつつ、チーム全員が同じ方向を向いて戦えているのが大東文化大学の強さと言えよう。