スプリングトーナメント準々決勝で専修大学に45-49で敗れた反省点を踏まえ、「少しリードしたと思っていたらすぐに逆転され、そこからチームがバラバラになってしまいました。それこそWUBSを経験した相手のハドルアップをマネし、しっかり全員で肩を組んで目を合わせようと今は取り組んでいます」と国内外の試合を一つひとつ踏み台にしながら、チームケミストリーを高めている。
元々ディフェンスに定評がある黒川だが、「世界の選手は身体能力が高く、その中で守らないといけないという課題が見えました。どんどんチャレンジして世界でも通用できたことが、今自分のディフェンスがよりオフェンシブになったことにつながっているのではないかと思います」とこの夏の経験が攻守に渡って成長させてくれた。だからこそ、かつての仲間である河村には負けられず、追いかけるべき良い道標になっている。
「勇輝は3ポイントシュートとフィニッシュ力が高いですが、ディフェンスとゲームメイクでは絶対に負けていないと思っています。それが自分の強みであり、プラスして勇輝の方が長けている部分を自分も身につけることができれば、上のレベルでも戦えるのではないかと思っています。今、東海大学で培ってきた自分の強みがあり、勇輝の良いプレーをしっかりと見て、どんどん盗んでいきたいです」
昨年のインカレを制した東海大学は粘り強く戦い抜き、負けない強さがある。スプリングトーナメントは7位、昨年はベスト8にも残れなかったが、黒川は私見として、「春にチームが完成しすぎてしまうと、やっぱりそこで慢心や過信が生まれて、どんどん自分たちが崩れていくと思います。たとえ負けても崩れずに、自分たちはこれだけ努力して来たぞ、っていうプロセスを大事にチームとして進めています」とキャプテンとして地に足をつけながらチームを引っ張っている。
後輩が中心となり、有望な1年生たちも大学バスケに慣れてきた。「春に比べて、すごく良くなっています。最初の頃はシュートセレクションも悪くて、高校生みたいなバスケをしていました。それがゲームの流れを読めるようになり、ディフェンスでハードプレッシャーをかけるなど東海大学のチームスタイルも分かって来て、徐々に良いプレーができはじめています」と黒川は言い、後輩たちがのびのびプレーできるようなゲームメイクも心がけている。目標とする日本一を目指す過程も、日本代表になぞられる部分があった。
「小さいチームなので相手どうこうというよりも、自分たちのやるべきことをやれば絶対に結果はついてくると思います。自分たちが今までどれだけがんばってきたかという部分を積み重ねていけば、絶対に日本一を獲れると思うので、日々のプロセスを大事にしていきたいです」
文・写真 泉誠一