山梨学院大学は2年生が中心のチームである。一昨年の関東1部リーグ8位から、昨年は4位に躍進したのも当時のルーキーたちの存在が大きい。#5 藤澤夢叶、#8 アググア チカチュクウ、#70 皆川もえ、#80 佐藤双羽らが2年生となった「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(以下、新人インカレ)は、上級生としてチームを引っ張る。キャプテンの藤澤は「責任感を感じながら、今まで以上に自分がやらなければいけない思いを2年生全員が持って戦えていました」と精神的な成長を遂げた。しかし結果は、準決勝は筑波大学に86-91で敗れ、続く3位決定戦も白鷗大学に68-77と及ばず、全国4位。試合順こそ逆だったが、いずれも関東新人戦で同じ対戦相手に敗れて4位だったのが悔しい。
準決勝の筑波大学とは昨年のインカレでも対戦し、60-61と1点差で惜しくも勝てず、「常にあのときの悔しさを忘れずに練習してきました。だからこそ、この試合は勝ちたかったです」と藤澤は感情が込み上げる。
「筑波大学とは違ってスーパースターのような選手はいませんが、しっかりチーム全員が攻め気を持ってオフェンスをしていました。ディフェンスでは、朝比奈(あずさ)選手のところを全員で抑えることを意識していましたが、やっぱり要所で決められてしまい、そこで点差がついてしまいました」
藤澤とは岐阜女子高時代からコンビを組むチカチュクウも25点、10リバウンドと活躍したが、31点を挙げた朝比奈に上回られ、またしても筑波大学に黒星を喫した。
しかし、準々決勝では関東新人戦を制し、シードで初陣を迎えた東京医療保健大学を84-78で下し、山梨学院大学がアップセット。「流れが悪いときでもまず自分が率先して声をかけて常に下を向かないようにし、みんなでどんどん強気で勝ちに行くように意識させていました。最後まで戦い抜いたことが勝因です」と藤澤は振り返り、キャプテンとして勝利に導いた。「あまりしゃべるタイプではない」という藤澤だが、チームの課題であるコミュニケーション不足解消へ向け、積極的に声をかけて士気を高め、気持ちをひとつに戦えたことに成長を感じていた。
平均27点の藤澤は得点王、3ポイント王に輝き、優秀選手賞を受賞。山梨学院大学は昨年の関東1部リーグで4位、今春の第57回関東大学女子バスケットボール選手権大会も4位、関東新人戦も4位、そして新人インカレも4位と表彰台に届かない結果が続く。チームの目標は「インカレ優勝」。ベスト4の壁を乗り越えるために必要な経験も、悔しい思いもすでに手に入れた。それを打破するための活路を、厳しい夏を通じて見出してもらいたい。
文・写真 泉誠一