「優勝するためには、7連戦しなければいけない覚悟はできていた」佐々木優一監督
「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(以下、新人インカレ)は筑波大学が、初代チャンピオンに輝いた。医学部という話題が先行される #3 黄雄志は、関東新人戦の最初の頃は恐る恐るプレーしている印象があった。しかし、試合を重ねるごとに度胸がつき、医学界期待の星は見事に覚醒を果たす。強気にゴールを奪い、そしてリーダーシップを発揮し、決勝は専修大学を73-66で破って頂点に立った。MVPを受賞した #1 福田健人もオールラウンダーとして磨きがかかる。U19日本代表メンバーとして、世界ベスト8の歴史を作った #14 坂本康成をはじめ、交代で入って勢いづけた #6 副島成翔は19点、#7 星川開聖は14点と活躍した1年生たちも優勝の原動力となった。
準優勝に終わった専修大学は、希有な経験をする。7月10日のグループステージに登場し、16日まで7日間、休むことなく戦い続けた。バスケだけではなく、スポーツ全般としても珍しい7連戦。「このレギュレーションで優勝するためには、7連戦しなければいけない覚悟はできていた」と佐々木優一監督は、選手たちとともに腹を括る。決勝の筑波大学戦へ向け、「トランジションでプッシュをさせずにハーフコートバスケットをさせること、セカンドチャンスを絶対にやらせないこと」を優勝へ向かうプランとして掲げた。「30分間はそれがしっかりとできていたが、最後の10分のところで相手の飛び込みリバウンドや3ポイントシュート、自分たちが掲げた勝つためのプランに対し、ちょっとした気持ちの緩みの部分を筑波大学に突かれ、しっかりと遂行されてしまった。本当にそこだけの差だったかな」と悔やむ佐々木監督。第3クォーターまでは、49-47と専修大学がリードしていた。しかし、結果は66-73、7点及ばずに7試合目のラストゲームを飾れなかった。
珍しい7連戦に対し、当事者たちはもちろん言い訳はしない。だが、難しさもあった。逆転された最後の10分間に対し、「気持ちがあったとしても、ちょっと体がついていかなかった……負けた言い訳にはしないが、ただ、選手たちはこの普通では考えられないような7連戦の中で、本当に最後まで戦い抜いてくれたことはすごく褒めてあげたい。選手たちは、顔を上げてしっかりと誇りを持ってもらいたい」と佐々木監督の言葉どおり、優勝した筑波大学とともに専修大学もまた、今大会の主役であった。
7連戦で見えた課題とメリット
「大学バスケに20数年間関わらせていただいていますが、初めてです。たぶん、公式戦7連戦は高校生でもないと思います」とは、長きに渡って選手たちのパフォーマンスを発揮させ続けるトレーナーの高橋基樹氏だ。毎日続く試合に備え、「午前中の空いた時間帯は積極的にメディカル的なケアを取り入れていました。ストレッチやアイシングではなく、物理療法的な医療機器を使った体のリカバリーをしました。捻挫していた選手も多く、しっかり治療してカバーしていましたが、それでも当然痛みを抱えながら選手たちは戦っていました。そのため単なるケアだけでは追いつかず、厳しい戦いだったと感じています」とチームスタッフも忙しい日々を送っていた。東京開催だったことで物理療法を取り入れることができたが、全国各地から東京にやって来たチームや、逆に今後全国各地で開催された場合は同じような体制は難しくなる。