福岡第一高校と福岡大学附属大濠高校の全国トップクラスの2チームが切磋琢磨するバスケ王国・福岡県。インターハイへの出場枠は1つしかなく、県予選決勝は毎年のように注目される。全国47都道府県の代表で競い合う高校バスケは、感情移入しやすい。その熱を引き継ぐように、高校を卒業してまもない1〜2年生で争う第63回関東大学バスケットボール新人戦がはじまった。
昨年の関東大学オータムリーグで1部昇格を決めた山梨学院大学。対する青山学院大学は2勝しかできず、最下位となって2部へ降格。入替戦のない自動昇降格だったことで直接対決こそなかったが、新人戦で相まみえる2回戦に注目していた。
入学したての青山学院大学 #77 芦田真人にとっては、「そこまで意識はしていないんですけど…」と昨年の結果は関係ない。しかし、その後に続く言葉は、「やっぱり今年は絶対に1部に上がるというのを目標にしています。そのためにも新人戦はチームの底力を上げるというか、1〜2年生が力を付けることによってチーム力も強くなると思っています」と芦田は述べ、1部の山梨学院大学に負けられない気持ちは強かった。
シンプルにゴールへアタックする山梨学院大学ペースで序盤はゲームが進む。2mを超える #98 スヴェトリシック イゴールと #70 カマレムレマ・フランシス(福岡第一高校出身)がリバウンドを制することで、まわりの選手も思いきってシュートを打てる。ディフェンスで粘る青山学院大学だったがそのリバウンドを奪えず、オフェンスのリズムがつかめないまま30-39、9点ビハインドで前半を終えた。
ハーフタイム中、青山学院大学は「今まで練習してきたディフェンスをしっかりやろう」と立て直すと、後半に入ってすぐさま流れを引き寄せる。第3クォーター開始2分強の間に、芦田は2連続3ポイントシュートを含む10点を決め、42-42と試合を振り出しに戻す。「前半はスリーポイントを打つ機会があまりなかったですが、後半はもうボールが回ってきたら積極的に打っていこうと思っていました」と吹っ切れたことで持ち味を発揮。前半は良いところが見られなかった青山学院大学のビッグマンのひとりである #25 ウォーレン航喜が、ドライブからバスケットカウントを決めて逆転する。代わって入った203cmの #23 加藤大智もゴール下で奮起し、リードを守る。前半で苦しんだリバウンドは「ビッグマンだけに任せるのではなく、ガード陣も高い位置から飛び込んでいくことを意識していました」と芦田らも積極的に絡んでいったことでチャンスを作った。
山梨学院大学は、福岡第一高校出身の1年生 #5 中村千颯が止まらない。マッチアップする芦田は、福岡大学附属大濠高校出身。昨年まで福岡対決を繰り広げてきたこともあり、「負けたくはなかった」と芦田が執拗にディフェンスをする。しかし、中村がその上を行く。残り42.6秒、79-79で追いつくシュートを決めた。直後に、#3 新井翔太が勝負強く3ポイントシュートを決め、青山学院大学が3点リード。残り時間が少なくなる中、この日37点目となる3ポイントシュートを決め返したのが中村だった。しかし、試合は #35 オドゲレル トルガがファウルでもらったフリースローを2本成功させ、これが決勝点となる。84-82で青山学院大学が競り勝った。