昨年の関東大学スプリングトーナメント(以下トーナメント)で1部リーグの日本体育大学を破り、ベスト8入りを果たした山梨学院大学。幸先良いスタートを切った昨シーズンは2部リーグで2位となり、2年連続昇格を決めた。今シーズンはいよいよ1部リーグが主戦場となる。
昨年6位の好成績を収めただけに、今年のトーナメントはさらに期待が高まる。ベスト8を懸けた早稲田大学戦は前半リードしていた7点を守り切れず、67-74で逆転負けを喫した。古田悟ヘッドコーチは「力不足です。勢いに乗れなかった部分もあり、選手の使い方もこだわりすぎて少なかったかな」と1部との差を痛感する結果だった。
キャプテンであり、チームのエースである武内理貴は19点と活躍。しかし、試合を振り返れば、「ミスマッチができた状態なのに、あまりうまく崩すことができなかったです。ディフェンスはチームとして良かったですが、オフェンスがあまり良くなかったという印象でした。今のままでは(1部リーグで)通用しないのは分かっています」と反省しきりである。
昨シーズンの2部リーグでは「オンボールとなる状況を少なくし、オフボールでどううまく動けば良いかに取り組んできました」と武内はレベルアップを図っていた。しかし、早稲田大学相手には、「そのオフボールの動きがうまくできなかったことで、ミスマッチをうまく攻められなかった印象です」ともうひとつ高いレベルのプレーが1部リーグでは求められる。
昨年のトーナメントでは1部リーグのチームと対戦できたが、自動昇格を決めたことで入替戦もなく、その後はチャンスがなかった。早稲田大学戦を終えた武内は明確になった課題とともに、エースとしてさらなる覚悟を固める。
「もっとシュート力を上げないといけないと思いました。少しタフショットになっても決め切ることが大事ですし、それくらいチームが自分に託すバスケットをさせてもらっています。そこは責任を持ってシュートを決められるように、もっと上手くなるためにがんばりたいです」
山梨学院には4人の留学生が切磋琢磨し、トーナメントでは4年生のカボンゴ ジョナサンと、セルビアから自ら留学してきたスヴェトリシック イゴールがロスター入り。武内にとっては「ビッグマンがいることで、シュートを落としてもリバウンドを取ってくれるという気持ちがあって打てています」と頼もしい存在である。来日したばかりのスヴェトリシックとは「言葉が違うので、コミュニケーションを取るのが今は難しいです。でも、とてもバスケIQが高いので、プレーに関してはすぐに分かってくれます」と武内が言うように、日本に慣れたときのパフォーマンスは計り知れない。
山梨学院大学の特徴を伸ばしながら、1部リーグへ向けた準備がはじまった。
「ディフェンスのチームであり、まずそこを1番に考えています。また、1〜4番ポジションまで全員がシュートを打てることを強みにしつつ、留学生の高さをうまく使ってチーム全員でがんばっていきたいです」
文・写真 泉誠一