「これまでは4年生や、今はいないけど(小川)麻斗さんに頼ってしまった部分がありました。やっぱり下級生主体のチームなので、試合に出ているメンバーが声出さなければならないです。そこで他人任せにならずに、チーム一丸となって戦えたのが良かったです」
本来であれば日本体育大学の4年生となり、コート上でキャプテンシーを発揮するはずだった小川麻斗は千葉ジェッツへ進み、プロとなってしまった。同期の永野は「もちろん得点力あるすごい選手なので、チームとしてそこは少しダウンする部分はあるかもしれません。でも、逆に他の選手たちが麻斗の穴を補うために努力し、自分がやってやるという気持ちが芽生えた選手が増えています」とプラスの効果もある。
以前、小川は千葉ジェッツでの記者会見で「ここで優勝することが恩返しになるではないが、成長する姿を見せたい」と話していた。永野もまた、「もうB1で東地区チャンピオンとなり、プロになって1シーズン目、しかも富樫選手がいるチームで活躍できているのが本当にすごい。麻斗からの良い報告が届くことが、僕らの力にもなっています」とお互いに高め会う良い関係性が築けている。
Bリーグの選手やスタッフの姿が見られた5月4日(木)。筑波大学を破った日本体育大学側の観客席を見上げれば、応援に駆け付けた小川の姿があった。
下級生主体チームであり、1・2年生にとっては2冠目、3冠目に挑む戦いが続く。6月5日より大田区総合体育館にて本戦がはじまる「第63回関東大学バスケットボール新人戦」でまず2連覇を目指す。第1シードの日本体育大学は6月7日に初戦を迎える。追われる立場となり、「期待されているとは思いますが、自分たちがやることは変わらずに一生懸命練習して、それを試合で発揮できるようにがんばるだけです。そこを意識していきたいです」と西部は浮き足立つことなく、次の優勝へ向かって気持ちを切り替えていた。
文・写真 泉誠一