「友達から『今日はスカウトが来てるよ』という話を聞いていたので、自分もここでアピールしてやろうという気持ちがありました」
3部リーグに所属する國學院大学にとって、関東大学スプリングトーナメント(以下トーナメント)は1部リーグのチームと対戦できるチャンス。冒頭のコメントは國學院大学3年の太田誠であり、仮に今年のリーグ戦で昇格しても、大学時代は2部リーグまでしか進めない。
トーナメントの組み合わせが決まったときから、「日大戦に向けて照準を合わせていました」と1年に1回しかないこのチャンスを待っていた。初戦は成蹊大学に111-66、続く電気通信大学も129-35、いずれも100点ゲームで圧倒し、順当に駒を進めてきた。しかし、迎えた日本大学戦は60-107、逆に100点ゲームで大敗を喫する。「自分らしさを表現できず、不甲斐ない形で終わってしまった…」という太田は14点を挙げたが、肩を落とす結果となった。
「しっかりと前からプレッシャーをかけつつ、相手の嫌がることをしようと心がけてはいたんですけど、やっぱり日大の上手さや試合の入り方、すべてにおける戦う姿勢が自分たちよりも上でした」
ディフェンスから試合に入り、しっかりとリバウンドを取って速攻を決める。日本代表の国際大会と同様に、小さいチームが大きな相手を破るためのセオリーどおりの戦いを準備していた。しかし、高さで上回る相手に後ろから簡単にリバウンドをもぎ取られ、さらに素早いパスで翻弄される。第2クォーターだけで7本の3ポイントシュートを許し、前半を終えた時点で30点差と大きく引き離された。
1部リーグのトップチームのひとつである日本大学に立ち向かった太田は、「外のシュートを練習してきましたが、結局1本も3ポイントシュートを決められませんでした。その分、アシストや足でかき回してレイアップに行くことを心がけていました」と持てる力を出そうとしたが、不完全燃焼に終わっている。
「どこかで自分が努力し切れなかったというか、がんばっているんですけど、さらにもっとがんばらないといけない、と毎年このトーナメントで気づかされます。大きな相手に対し、自分たちがやりたいことは簡単にはさせてもらえなかったです」