東山は激戦区・京都を制し続けられるか
優勝決定戦こそ敗れたものの、なるほど、噂どおり今年の東山は強い。
2年前にその存在を知ったスコアラーの佐藤友も今春から最上級生になり、昨年1月のジュニアウインターカップを沸かした瀬川琉久も、佐藤の1学年下ながら、ポイントガードとしてチームを引っ張っている。ゴール下には203センチのナトゥリオンケンベナミネもいる。彼ら3人が、いわゆる「縦のライン」を形成して、ここからはその背骨にどう肉付けをしていくかが課題なのだと、大澤徹也コーチは言う。
「やはりウチはこの縦のラインが生命線で、この線がすごくはっきりしてきたと思います。残りの子たちをどのように合わせしたらいいのかも(京都招待で)明確になってきたと思います。うちのストロングポイントはこれ、それに対してこういうオプションをつけていきましょう、といったことがはっきりした大会になりました」
昨年はインターハイもウインターカップも出場権を逃した。その分、佐藤や瀬川といった下級生を積極的に起用し、いわば2年がかりでチームを構築してきた。チームとしてもやれることが増え、成熟度も増しつつある。一方で、いくら中学時代に高いキャリアを積んでいたとしても、一つ上の高校カテゴリーで研鑽を積んできた強豪チームに、そのキャリアだけで乗り越えることはできない。
「そういうところにすごく脆さを感じていて、開志国際との試合や、全国レベルの強いチームとやったときにどうなのかと思っていました。近畿ブロックの新人大会である程度の感触はつかめてきたので、有望な新1年生が入ってくることもありますが、やるべきことがすごく明確になってきて、ちょっとずつ可能性は見えてきたなっていう感じですね」
3月下旬におこなわれた「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP2023」で最終日まで戦った “あの選手” も、どうやら即戦力として、大澤コーチのイメージのなかにあるらしい。佐藤ら「縦のライン」が形成され、スタメンとして彼らをサポートする小泉広翔と飯田流生、ベンチからも十川虎之介や南川陸斗らがバックアップする。留学生ビッグマンももうひとり、春先に入ってくる。
縦のラインに大きなケガがなく、そこに周りがうまく肉付けされていけば、開志国際の独走を止められる筆頭にもなるだろう。もちろん府の新人大会のときのように、ケガ人がいたとはいえ、取りこぼしがあれば全国への道は断たれる。
全国屈指の激戦区、福岡県と新潟県と同じように、いや、それ以上に、今年の京都は代表争いが激しくなるかもしれない。
京都招待に出場したチームはその後、奈良招待やDAITO CUP、スプリングマッチ新発田、埼玉カップなどを転戦し、春休みを過ごしていく。春のカップ戦の終わりを告げるのは、ゴールデンウィークの能代カップか。今年は(今年も、と言ったほうが正確かもしれないが)それ以外にもいくつかカップ戦、交流戦が開催されると聞く。
彼らがまず目指すのは夏のインターハイ。それさえも「全国の新人大会」と言うコーチもいるほどだが、さて、今年の夏はどんな夏になるのか。
KAZU CUPの原稿を書き上げているときにほぼ満開だった拙宅から見える桜並木。すでに花びらを散らし始め、葉も見え始めてきた。桜は散り際が美しいと言われるが、花も急いては風情に欠けるというものだ。高校生にはぜひじっくりと今年のチームを楽しんでもらって、冬に満開の花を見せてもらいたい。
第58回全国高等学校交歓バスケットボール京都大会
そうだ、春の京都行こう(1)京都招待初日
そうだ、春の京都行こう(2)京都招待2日目
文・写真 三上太