「小手先で簡単にスティールして簡単に点取るっていうオールコートのディフェンスはまだ控えて、今は徹底してハーフコートディフェンスを鍛えています」
東山にこそ75失点をしたが、8分ゲームの予選グループでは平均失点が42.3点、京都精華学園も41点に抑えている。
昨冬敗れたライバルの金沢には199センチの大舘秀太が残っている。県の新人大会でこそ58失点に抑えて優勝したが、金沢もこのまま引き下がるとは考えにくい。京都招待で一定の収穫を得た北陸学院が、これからどのようなステップアップを見せるのか。白熱しそうな石川県代表争いに注目したい。
今は焦らずじっくりと ── 中部大学第一
北陸学院に敗れて2位グループに入ることになった中部大学第一。しかし現時点での勝敗はさほど気にしていないと、常田健コーチは言う。むろん勝てば、各リーグの1位チームと対戦できるのだから、得られるものの大きさは変わってくる。しかし今の彼らはそれどころではない。チームの核をなすはずだったポイントガードの竹本義希とトウレ サリウが長期の戦線離脱をしているのだ。
「今年のチームは竹本とトウレがマストだったんです。その2人を軸に、2番、3番、4番のポジションを誰にしようかなと思っていたら、1番と5番がいなくなったから、結果的に全部がフラットな状況になってしまって……」
しかも愛知県の新人大会、その後の東海ブロックの新人大会と続く中で、彼らのケガだけでなく、部内にインフルエンザが蔓延。東海ブロックの新人大会については辞退も考えたほどだった。その分、チームとしてのスタートは例年に比べて遅れをとっている。
一方で、サイズのある有望な新入生も入ってくることになり、今年も大型化を目指したいと常田コーチは言う。
「大きい選手がいなければスモールラインアップにできるんですけど、大きい子がウチを選んで入ってきてくれている以上、大きい選手の可能性は最後まで求めていきたいと思っているんです。2番、3番、4番は大型化ができそうな雰囲気はあるし、こぢんまりとはしたチームにはしたくないかなって思っています」
サイズのある下級生中心のチームにしようというわけではない。常田コーチはあくまでも3年生の力を信じながら、しかし今はまだ彼ら自身が自分に精一杯で、余裕がないのであれば、下級生を使うことも視野に入れて、チーム作りをしようと考えているのだ。
昨年から試合に出ている3年生の佐渡樹也あたりが、どこまで核に近づけるのか。また1年生だけではなく、2年生の前田凌侑やアグイ要哉あたりも出てくる可能性を十分に考えられる。
「今は開志国際さんが強いと言われているのはよくわかるんだけど、決して手が届かないところじゃないなという気がするんです。もちろん、どのチームもまだこれからだと思うけど、昨年みたいにタレントが多くて、圧倒的に大きいとか、そういう感じではないから、焦らないで時間かけていけば、、追いつけ追い越せができそうなところかなと思っているので、あまり焦らないでチームを作りたいですよね」
愛知県の新人大会では決勝戦で桜丘に敗れ、東海ブロックの新人大会では3位決定戦で借りを返したものの、準決勝で美濃加茂に敗れている。結果だけを見ると、昨年の個性派集団が抜けた穴は大きいように思えるが、今年の中部大一はじっくりと見るべきなのかもしれない。