今年の春は例年よりもやや早い。拙宅から見える桜並木もほぼ満開。まだ3月というのに……これも地球温暖化の影響だろうか。
「第9回日本工学院 Presents KAZU CUP(以下、KAZU CUP)」が3月21日から3日間、日本工学院八王子専門学校の体育館でおこなわれた。これまでは3月末におこなわれていたから、こちらも時期がやや早い。まだ春休みを迎えていない高校にとっては残念な日程だったかもしれないが、2023年度の高校バスケットシーンの始まりを感じるには、もってこいのカップ戦である。
2012年に始まったKAZU CUPだが、今回は新型コロナウィルスの影響で4年ぶりの開催となった。「人作り、仲間作り」を大会の主目的とし、北海道から福岡まで全国から16の高校男子チームが集まってくる。4チームずつ4つの予選グループに分けてリーグ戦をおこない、その順位別のグループで再びリーグ戦、最終順位をつけていく。
予選グループを3連勝で通過し、1位グループでも3連勝を遂げた開志国際(新潟)が初優勝。準優勝は、その開志国際に敗れた福岡第一(福岡)となった。3か月前におこなわれたウインターカップの決勝戦と同じカードとなったわけだが、今回は101-55のほぼダブルスコア。あくまでも現時点での、しかも限られた学校数でのカップ戦だけに性急な判断は禁物だが、どうやら今年も開志国際が強そうだ。
春としては100点満点の開志国際
「今の時点からすると100点じゃないですかね。ちょっとしたミスはあったけど、3月にしてみれば上出来かなという感じですね」
開志国際の富樫英樹コーチは笑顔で大会を振り返る。
介川アンソニー翔や武藤俊太朗らは抜けたものの、昨冬のウインターカップ初優勝を主力ガードとして経験した澤田竜馬と平良宗龍は残っている。富樫コーチが「チームプレーがわかってきた」と認める2年生センターのネブフィ ケルビン シェミリーも大黒柱としての存在感を見せつつあり、また今大会のMVPと言ってもいい中島遥希のリバウンド力は目を見張るものがあった。
それでいて、2人の主力選手がケガからの回復待ちというのだから、富樫コーチの笑みがこぼれるのもわからなくない。
「1月から練習を始めて、練習の雰囲気もいいんです。昨年はインターバルで負けたあとに練習の雰囲気が良くなったんだけど、(ウインターカップ後も)また良くなりました。特にいいのはゲームに出られていない子どもたち。彼らがみんなで練習を盛り上げています。ウインターカップに勝ったことが、チーム的にも大きいのかなって感じはしますね」
プレー面でも変化は見られた。決勝リーグの3試合で平均失点は62点。見た目の激しさこそはないものの、要所を抑えたディフェンスで、相手の思うような攻撃をさせない。ローテーションも全員が素早く、正確におこなうため、相手はなかなか隙を見つけられないようだ。
「新潟県の関係者も『ようやく富樫らしいバスケットになってきたな』と(笑)。だから、そこから120点取ろう、ガンガン行こうという話はしています」
KAZU CUPでは主に6人でゲームをまわしていた。そこに2人のケガ人がカムバックし、構想に入っている新入生もいる。新しい留学生のビザも降りた。10人がケガなく、うまく時間をシェアできれば、さらに脅威を増すチームになるだろう。