前編:「人思いで仲間思い」「自己犠牲を一番できる選手」より続く
目指すは「100キロあっても動けるぞっ」!?
東海大学 #4 小玉大智はパワーフォワード。身長は小学校6年のときから5cmしか伸びていない185cm。ほとんどのチームに2メートルを超える留学生を擁する大学バスケにおいて、アンダーサイズであるのは否めない。
小玉が東海大学へ入学してきた年、当時の4年生には平岩玄(200cm:アルバルク東京)や山本浩太(204cm:金沢武士団)がおり、同級生にも #10 張正亮の2メートルがいる。ひとつ上のスーパースター軍団には八村阿蓮(198cm:群馬クレインサンダーズ)や佐土原遼(192cm:広島ドラゴンフライズ)ら頼もしいインサイド陣が揃い、小玉はスモールフォワードへポジションアップすることを夢見ていた。
しかし現実は、「もうペリメーターは競争が多すぎでした」と行き場を見失う。東海大学は、Bリーグを見据えるプロ予備軍。192cmの #24 松崎裕樹が先にアウトサイドへポジションアップし、1つ先輩の大倉颯太(千葉ジェッツ)は同じく185cmだがポイントガードに定着しはじめていた。どうすればユニフォームを勝ち取れるのかを考えた末に、これまでと変わらぬパワーフォワードで勝負する覚悟を決めた。とはいえ、器用に動ける大男たちがひしめき合う東海大学であり、「このポジションで生き残る道を探した時に、シュート力とディフェンスが必要だと思いました」と細分化しながら突き詰めて行く。
同じポジションに固執せず、ポイントガードの坂本聖芽(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)を見て、「すごいディフェンスがカッコいいなと思っていたので、そういうディフェンスができる4番ポジションがいいかなって考えていました」と貪欲に吸収していった。練習から常に前からプレッシャーをかけていき、「100キロあっても動けるぞっていうところはちょっと意識しています」とアピールすべく、今の体型になったのが理由のひとつ。「それもあるんですけど…」と用意してきたさらなる理由は、「やっぱ美味しいもんを食べたいっていう気持ちにも勝てないですね。そんな感じです」と切り返され、呆気にとられる。
185cmの小玉のオフェンス力は、インカレのスタッツどおり(平均2.8点)。しかしディフェンスに関しては、今シーズンの東海大学を支えた影の功労賞をあげたい気分だったりする。マッチアップする大きな留学生に対し、腰を落として押し込まれないように踏ん張り、インカレでは張と一緒に出る機会が多かったことでペリメーター陣のスピードにも対応していた。