6年ぶりにベスト16の壁を破った「勝っていないチーム」の改革
関西1位の大阪人間科学大学が、6年ぶりにベスト16の壁を破った今年のインカレ。グループステージを突破してきた武庫川女子大学との初戦を64-51で勝利。今いる選手たちにとって初の準々決勝は、東海1位の愛知学泉大学と対戦。残り11秒、追いかける大阪人間科学大学のラストプレーを託された #6 清水咲来。「自分がしっかり決めて、延長に持ちこんで勝ち切れたら良かったのですが……そこも決めきれずに終わってしまいました」と肩を落とす。68-71の3点差で敗れ、準々決勝敗退。練習してきた本来の力を発揮できず、「すごく悔しい気持ちですね。4回生としても情けない姿を見せて終わってしまったと思っています。自分がしっかり走り切っていないとか、得点に絡み続けていないとか、そういうところでチームがだんだん悪くなっていったと思います」と清水は自責の念に駆られる。
インカレでベスト16が続いてきた大阪人間科学大学に対し、「勝っていないチームだな」と感じていたのは、今年から大阪薫英女学院高校と兼任して指揮を執る安藤香織コーチである。
「最初に見たときには高校生の方がオーラがあるというか、勝ちに対して貪欲だと思いました。ベスト16が続いて勝利から離れた時期が長くなっており、高校時代に勝った喜びも知っているからこそ、勝ちたい気持ちがどうしても先走っていました。結果を意識するよりもやるべきことを意識してやろうねと伝えて、今大会に入ったつもりでした。持っている力を全部発揮できれば、もうちょっと違った結果になったんじゃないかなと思うんですよね」
安藤コーチが本格的に練習を見はじめたのは、第43回全関西女子学生バスケットボール選手権大会が終わった5月。そこで見えた課題を練習メニューに落とし込み強化がスタート。「秋になり、関西リーグでようやく落ち着いてプレーできるようになってきました。結果を先に追うのではなく、チームとして5人でやるべきことが徹底できはじめていたので、このインカレは結構楽しみにしていました」という安藤コーチだったが、最後の試合はふたたび勝ちたい気持ちが先走ってしまったことが悔やまれる。
安藤コーチは就任時、「高校生から見てカッコいい大学生にならなければいけない」という意識を選手たちに持たせた。これまでもお互いにゲームをして強化する機会はあったが、「高校生が勝ってしまい、見本になるような感じではなかったんです」という。両チームを指揮する以上は、上のカテゴリーである大学生が見本にならなければならない。今年は積極的に交流し、高校生に教える機会があれば、逆に大学生が高校生にアドバイスをもらうこともあり、その距離はグンと近づいた。