185cmの恵まれた体躯を持つ日本の至宝が選んだ武者修行
環境が変わり、チームのシステムを覚え、学業にも勤しまなければならないルーキーシーズン。入学時から夏休みまで代表活動に参加していた朝比奈にとっては、チーム練習に参加できない日が多かった。そこで手を差し伸べてくれたのが、4年生をはじめとした先輩たちである。「チーム全体でコミュニケーションを取ってくれましたし、本当に筑波は良いチームです」と感激する。その優しさと期待に応えるためにも、「今まで代表で経験してきたことや桜花で実践してきたことをチームに還元して、筑波のためにがんばりたいという気持ちが強かったです」とフル稼働した1年目が終わった。
昨年はウインターカップ3連覇を達成し、大会ベストファイブを受賞。185cmの恵まれた体躯を持つ日本の至宝はなぜ、大学バスケの道を選んだのか?
「筑波大学は留学生がいません。アグレッシブに前からディフェンスをして、そこから速い展開で攻めるスタイルです。全員がオールラウンドにプレーし、外から3ポイントシュートを打ち、中へカッティングもドライブもするチームスタイルは、日本代表のバスケにすごく近いと思っていました。東京医療保健大学や白鷗大学など留学生がいる相手を倒していくというチームにすごく惹かれて、自分もその中で日本一になりたいという気持ちがあって選びました」
Wリーグにも留学生が増えているが、その門戸が開く条件として「通算5年以上日本国に在留していること」と定める。高校から日本にやって来るケースがほとんどであり、その規準を満たすためにはあと2年を要する。必然的に大学へ進み、バスケを続ける選手が多い。特に20歳前後の伸び盛りの時期に大きな留学生をライバルとし、高い目標を持って挑む。日本人ビッグマンにとって大学バスケは、武者修行の場として打ってつけである。この環境でどんな花を咲かせるのか、期待を込めて見守りたい。
文・写真 泉誠一