恩塚イズムを継承し、インカレ6連覇達成
今年の関東大学女子リーグ戦は無敗の白鷗大学が制した。2位に終わった東京医療保健大学の #25 伊森可琳は、「リベンジに燃える大会」と挑み、4年生の彼女にとっては最後のインカレである。4年連続同じカードとなった決勝は、東京医療保健大学vs白鷗大学のライバル対決。先制したのは白鷗大学だったが、9-2と連続得点で東京医療保健大学が引き離す。
「1回戦から厳しい試合が続き、なかなか自分たちのリズムを作れなかった」という白鷗大学の佐藤智信監督の言葉どおり、良いディフェンスを見せるがシュートが決まらない。後半からディフェンスのギアを上げた東京医療保健大学が、次々とボールを奪って41-26と2桁リードを奪う。タイムシェアをして足が止まらない東京医療大学。接戦続きで主力を引っ張ってきた白鷗大学は力尽き、77-52で勝利した東京医療保健大学がインカレ6連覇を達成した。
現日本代表の恩塚亨ヘッドコーチに代わり、今年から東京医療保健大学を率いるのは69歳の知将・日髙哲朗監督。20年前に筑波大学男子チームを率い、そのときに学生だったのが恩塚ヘッドコーチである。バトンを渡された恩師は、「恩塚監督が作り上げたバスケットが非常に有効だということを証明できたかな」と6連覇達成に安堵する。タイムシェアする選手起用や戦術など、これまでの戦い方をそのまま踏襲していた。ディフェンスを勝因に挙げた日髙監督は、そこだけ新たなエッセンスを加えている。
「もともとディフェンスのローテーションが良いチームですが、それがもっと良くなるのではないかと思っていました。とにかくボールマンに対するフットワーク、1on1で守れる足を作りましょう、と練習をはじめたのが9月ぐらい。インカレまでの3カ月間で積み重ねていけば、なんとかなるのではないかと練習してきました。インカレでは、相手にドライブでゴール下へ抜かれるシーンが少なくなっていたと思います。もともと素晴らしいものを持っている選手であり、ボールマンに対する間合いについて考えてみてはどうかと話をすれば、自分たちで解決してくれました。ベンチから見ていても、やっぱりすごい選手たちであり、足の強化は練習すればなんとかなるとということも実感できました」
準決勝では筑波大学に104-59、決勝も52点に抑えた失点数がそれを証明する。「基礎的なディフェンスのフットワークを徹底してきました。ファンダメンタルの部分はとてもチームにプラスになっています」と #77 岡本美優はその変化を実感できた。技術だけではなく、「すごく自信がつくような声かけをしてくれますし、接しやすい」という #18 池松美波は心の余裕が生まれた。「とにかくずっと声をかけてくださるし、励ましの声をたくさんかけてくれたことですごい自信になりました」と #1 古木梨子にとってもプラスになり、彼女ら3年生が日髙監督とともに7連覇へ向け、新たな東京医療保健大学の歴史を築いて行く。