新人インカレでふたたび大きなケガを負った日本大学の #3 米須玲音とは、東山高校でコンビを組んでいた。「米須のいない日大はやっぱり少し違いました。来年になればきっと米須も帰ってくると思うけど、そうなるとさらに難しくなります」とムトンボは警戒するとともに、ふたたび同じコートに立つ日を楽しみにしている。
「米須とは高校3年間ずっと一緒にバスケをしてきたので、僕のプレーは全部知っていますし、一緒にプレーしていても完璧でした」という信頼感があった。日本体育大学では3年生の #23 小川麻斗や1年生の #21 月岡煕とコンビを組むムトンボだが、まだ成熟し切れていないと感じている。
「来年は僕も3年生になり、麻斗とも3年目なので来年は完璧になります。米須以上のコンビができるようにがんばっています。月岡とも精度を挙げていき、来年はもっと強くなります」
高校バスケよりも注目度が低いが、レベルは高い大学バスケ
東山高校時代は華やかな舞台で日本一を争ってきた。大学バスケと比較し、高校バスケの方が様々な大会にスポンサーがつき、マスコミの注目度や扱いも大きく違う。それはバスケに限った話ではなく、日本のスポーツ全般に言える。47都道府県の代表校が日本一を争う構図は、帰属意識を刺激する。一方、強豪校が関東に偏っていることもあり、広がりにくさが大学バスケにはあるのかもしれない。しかし、特に男子は大学からプロへ行く選手がほとんどであり、Bリーグ予備軍による争いはもっと注目されても良い。
実際にコートでプレーするムトンボは、「大学バスケはフィジカルが強く、みんな身長も大きいです。高校バスケはみんな遅いし、小さい。そこが全然違います」とプレーの質について強調する。高校時代から恵まれた体躯でインサイドを制してきたムトンボにとっても、それほどフィジカルの違いを感じているのかと驚かされた。
「留学生だけではなく、日本人もフィジカルが強いです。高校のときは、そんなことを思ったことは全然なかったです。相手が日本人だけのチームだったら余裕でした。でも、大学ではそこが全然違います。東海大学や筑波大学などみんなフィジカルが強い。ディフェンスのレベルも全然違います。オフェンスではみんな速いし、シュートもしっかり決め切ってきます。そんな高いレベルでチャレンジできることが楽しいです」
プレーしている選手が楽しいからこそ、見ていて楽しい大学バスケ。ムトンボとコンゴローのように高校時代から続くライバル対決があり、逆に同じチームになって新たなケミストリーが生まれている。今年の日本一決定戦も今日を含めてあと2日となった。4強に残ったのは2連覇を狙う白鷗大学、大東文化大学、東海大学、そして日本大学。すでに敗退したチームの3年生以下の選手にとっては来年もある。ムトンボもすでに気持ちを切り替えていた。
「ウインターカップでは日本一になれなかったので、来年こそインカレで日本一になりたいです」
文・写真 泉誠一