12月4日に開幕した女子インカレ。グループステージ最初の試合に登場した愛知大学と広島文化学園大学は、いずれも初出場校である。愛知大学 #87 中村美晴は「バスケットを楽しむ挑戦者」と言えば、広島文化学園大学 #4 小松みなみも「私たちはチャレンジャー」と同じ気持ちで臨んだ初舞台。彼女らにとっては、はじめてたどり着いた全国大会でもあった。
次々と速攻を決め、効果的な3ポイントシュートで先手を取った愛知大学。しかし、立ち上がりは「相手のディフェンスにみんなビックリして、攻めの姿勢があまり出せなかったです」と中村は振り返る。「ディフェンスでは前からプレッシャーをかけ続け、リバウンドとルーズボールは中国地方で1番」と自負する小松は自信を持って仕掛け、チーム総数21本のターンオーバーを誘う。対する愛知大学は、厳しいディフェンスの裏をかく速攻や形を作られる前にシュートを決めて110-93で逃げ切り、初勝利をつかんだ。
点差こそ詰められなかったが、最後まであきらめずにゴールを狙った広島文化学園大学は後半に得点が伸びている。「最初に会場に入ったときからみんなもドキドキしていて、シュート感覚もつかめずにオーバーになってしまいました」と小松は明かし、徐々に慣れて行ったことで当たりはじめた。コロナ禍により無観客試合が続き、このインカレで久しぶりに埋まるスタンドへ向かって放つシュートは、「メンタル的に舞い上がってしまいました」というのが原因だった。それらも含めて経験であり、両チームともロスター入りした4年生は3人しかおらず、残る後輩たちとともに新たな伝統を築いていった。
「誰が出ても試合で活躍できるように取り組んできました。1年生が試合に出ることも多く、しっかりと自覚を持ってプレーするように伝えていました」(小松)
「後輩が多く出場してがんばってくれているので、最後の大会に4年生としてチームの先頭に立って引っ張っていました」(中村)
グループステージ2戦目は、インカレに37年間出場し続ける武庫川女子大学。直前に行われた皇后杯にも出場し、姫路イーグレッツに48-85で敗退。Wリーグとの対戦では、第1クォーターをたった2点に抑えられた。その鬱憤を晴らすように、広島文化学園大学に対して2点しか与えずに最初の10分間を終える。190cmある #15 トラオレ セトゥが34点、16リバウンドでゴール下を支配し、51-135で圧倒された広島文化学園大学は2連敗ではじめてのインカレ挑戦が終わった。
愛知大学の主戦場となる東海リーグでは経験できない留学生とのマッチアップに対し、「しっかりスカウティングして、守り方を対策していきたいです」という中村は、武庫川女子大学に挑む。毎年出場し、経験豊富な相手だが、すでに1試合戦った愛知大学も場慣れして迎えた2戦目。攻守に渡る中村の活躍もあり、第3クォーターまでは僅差でついて行く。しかし、終盤に引き離されて68-87、2連勝ならず。両チームともグループステージ突破は叶わなかったが、学生最後に良い思い出を作ることはできたようだ。
「はじめての全国大会の舞台でしたが、交代メンバーも含めてみんなで最後まで走ることができ、楽しむこともできた良い試合になりました」(小松)
「はじめての全国の舞台は緊張しましたが、楽しみながら勝つことをモットーにがんばりました」(中村)
Cブロックを制した武庫川大学は次戦、同じく皇后杯に出場し、山梨クィーンビーズに勝利したシード校の日本経済大学と対戦する。
文・写真 泉誠一