チームスタイルの確立とエースの台頭が課題
昨年と変わらぬ6位であり、過去を振り返ってみてもリーグ戦は中位で終わることが多かった。3年前に日本一になったときも5位である。馬場雄大(テキサス・レジェンズ)や杉浦佑成(滋賀レイクス)らを擁し、インカレ3連覇を成し遂げたときもリーグ戦を制したのは最後の年だけだった。この状況に対し、中田は「上位にも下位にも属していないこの位置がおもしろい」と考え、「長いリーグ戦を戦い終えて原点に戻ることができた」ことをプラスに捉えている。
「戦術などいろんなことを試してきましたが、それでも歴代の先輩たちが築いてくれたディフェンスからブレイクを出すことが、筑波のスタイルです。それが出せているときは、気持ち良くバスケットボールができていることもハッキリと分かったことが、インカレに向けたひとつの良い収穫であり、僕らが迷わずにプレーできるようになりました」
さらにチームを上向かせるために、「ケガさえしていなければ、本来は起点になる選手です」という中田は、福岡大学附属大濠高校時代からの戦友へ期待を寄せる。昨シーズンは特別指定選手として茨城ロボッツに入団するも、練習中に右膝前十字靭帯損傷のケガを負った横地聖真。9月28日の明治大学戦から復帰し、10月15日の日本大学戦では先発で起用され、10点を挙げた。「がんばってはいますが、まだ一皮剥けきれていない感じです」と中田が言うとおり、最終戦は無得点に終わっている。
「横地がエースとしての存在感を示してくれれば、みんなの役割もハッキリしてくるのでチームとしてもっと良くなっていきます。昨年の三谷(桂司朗)のように、大会の中で成長してくれたケースもあるので、そういう意味でも最後の2試合を久しぶりに快勝して終われたことはひとつの自信になりました。あとは、インカレに向けてさらに上げていきたいです」
浅井修伍とともに、少ない時間ではあったが中田も3年前の日本一に輝いたコートの上にいた。「ここから化ける可能性もあるし、逆に落ちる可能性もある。がけっぷちの位置にいることを理解し、いかに危機感をチームに持たせるかということを今は意識しています」と中田はチームを引っ張り、学生として優勝できるラストチャンスに懸ける。思うように勝てなかったリーグ戦はすでに過去の話だ。もう一度仕切り直して、高い山へアタックするための準備に入った。
「インカレへ向けて、僕たちのスタイルをもっと確立していくことがまず大切です。あと20回ほどしか練習できないですが、その中で劇的にシュートが入るようになったり、ドリブルがうまくなったりすることはないので、自分たちのスタイルであるディフェンスからブレイクを出すためにも、激しいディフェンスを見つめ直した上で土台を作っていくしかない。逆に言えば、もうやることは決まっているので、あとはやるだけです」
文・写真 泉誠一