高校時代のエースが集うタレント軍団ゆえにタイムシェアへの戸惑い
関東大学オータムリーグを6位で終えた筑波大学。序盤は連敗もあったが、7試合行われた筑波大学でのホームゲームはすべて勝利。2位の専修大学や、3位の東海大学からも白星を奪っている。しかし、ホームゲームで勝利したあとの試合はいずれも敗れており、「今年は勝ってしまうと落ち着いてしまう選手が多く、次の下位チームに敗れてしまったパターンもありました。僕らは上位チームに勝って行かなければならない状況にあることを、選手たちにしっかりと伝えることが大切ですし、危機感を持つことがインカレへ向けたキーワードにもなっています」というのは、キャプテンの中田嵩基だ。
15勝11敗の結果が示すとおり、波が激しいリーグ戦だった。「接戦になったときに、なかなか勝つことができませんでした。下級生が多く出ている中で、粘り強さがないということも吉田(健司)先生にはずっと言われていました」という課題もある。タレント軍団ゆえに、タイムシェアしながらつないで戦う筑波大学。先発で起用されるときもあれば、ベンチスタートとなるだけではなく、「1ガードや2ガードなどいろんなことを試していたので、この26試合を戦っている中でずっと迷いがあったのは正直なところです」と中田はその心境を明かす。
「短い時間の中で、いかに自分のパフォーマンスを発揮するかを意識しています。高校までは3〜40分出ていた選手たちばかりなので、そこはすごく難しいところでした。でも、相手には留学生がいるので、ディフェンスの強度も一人ひとりが上げていかない限り、ハーフコートバスケットでは絶対に負けてしまうからこそ、ディフェンス力をアップさせていかなければならないです」
吉田監督とコミュニケーションを取りながら、その戸惑いを払拭させたことで、最終節は2連勝で終えることができた。ディフェンスでの強度を高めるためにもタイムシェアは有効な手段となる。国士舘大学戦は82-53、明治大学戦も78-52といずれも相手を50点台に抑えることができた。その中心にいたのが中田や笹山陸、栗林幹太ら4年生の存在が大きい。
「1番から5番まで、全員でディフェンスの強度を上げることが意識できた試合でした。スタートであっても、控えでもあっても今年のチームを体現するのは4年生だと思っています。4年生が出る時間帯は絶対にミスが出ないように、強度を下げないようにしようと試合中もみんなで話し合いながら戦っていました。そこが最後の2試合はしっかり体現できたのかなと思います」
昨年まではインサイドで体を張る井上宗一郎(サンロッカーズ渋谷)がおり、一人でも打開できる二上耀(千葉ジェッツ)がいたことで、ハーフコートでも戦えていた。「でも今年は、身体能力が高い選手が揃っているのでトランジションバスケではうまくできますが、ハーフコートバスケになると止まってしまう印象があります。そういう時間こそ、ガードとして起点となれるようにしたいと考えています」と中田は話す。その言葉どおり、明治大学との最終戦はベンチから途中出場するや否やすぐさま3ポイントシュートを決め、またディフェンスでは前からプレッシャーをかけたことで流れを引き寄せていった。
「キャプテンとしても、ポイントガードとしても、勝利どころで優位に立てるようにコントロールすることが今年の課題です。攻撃面では、自分の持ち味であるシュートやピック&ロールから起点となり、そこに対する精度については絶対に負けたくない。誰が出ていても、自分の方がそこは上回っていると思ってもらえるようなプレーをしていきたいです」