大学日本一のチームを率いるキャプテンだが、高校時代は全国大会とは無縁の常総学院高校出身。総勢48人の部員を誇る白鷗大学であり、「Bチームを含めても一番実績のないプレーヤー」と自虐的に話す。そんなギバにとって、同じ境遇である埼玉栄高校出身のミサカボ ベニとともに支え合い、互いに高め合っていた。
「同じポジションであり、ベニの活躍やバスケットに取り組む姿勢は自分も毎日のように刺激をもらっていますし、逆に見ていて応援したいなと思える選手です。同期なので、すごく助けてもらっています。ベニの活躍を見ながら刺激をもらえることで、自分もがんばらなければいけないと思うことができています。お互いに良い刺激を与え合っている存在なので、相棒みたいなもの。コート上でもプライベートでも良くしてもらっているので、本当に大きな存在です」
ギバの足元に目を向けると、「Tatsuhito」という名前とともに「Live forever in my heart」と書かれていた。その話題を向けると、大きな瞳から大粒の涙が溢れはじめ、言葉が詰まる。ギバは今春に若くしてこの世を去った親友の思いも背負っていた。
「中学と高校まで一緒の学校に通っていた親友で、バスケ部ではなかったですが常日頃から応援してくれていました。自分にとっては本当にデカい存在でした。亡くなってしまった彼の分も背負ってプレーしようと思い、今シーズンはバスケ選手にとっての仕事道具であるシューズやユニフォームに彼の名前を書いて、練習でも試合でも一緒に戦って行こうという気持ちで、心の中で永遠に生きているという思いを込めました」
185cm、決して大きくはないパワーフォワードだが、屈強な背中は誰よりも大きく、仲間のために多くのものを背負うことだってできる。関東大学オータムリーグ制覇は亡き友へ良い報告ができるのではないかと問えば、「まだ日本一にはなっていないので、きっと『まだまだ』と言われると思います。本当に顔向けできるのはやっぱりインカレで優勝して、日本一になってからだと思っています。そこまでは全力で彼の分も、またチームのためにもまだまだがんばっていきます」と笑顔を見せた。
今シーズンのリーグ戦では専修大学、東海大学、日本大学、そして大東文化大学の4チームに敗れている。ライバルたちへのリベンジをモチベーションに、インカレ2連覇へのチャレンジが待っている。
文・写真 泉誠一