「もうボロボロになるまでやればいいじゃん」と背中を押した希望の言葉(前編)より続く
乱暴に言えば、人間の体は機械の故障と同じく、大抵のケガは治すことができる。しかし、日常生活に支障を来さない程度の回復では満足できないのがアスリート。体を動かしてみなければ確認できず、それまでは不安と隣り合わせの長い時間が続く。ケガした体以上に、心のケアも大切である。
4位でインカレを終えた記者会見で、昨年のキャプテンだったキング開(現・横浜ビー・コルセアーズ)は、「ケガで出られない喜志永や(クベマ ジョセフ)スティーブの分まで、4年生が引っ張っていかなければいけないという気持ちは強かったです。最後まで絶対にあきらめない気持ちをみんなで共有して戦っていました」とコメントを残した。「開さんは俺の名前をいつも言ってくれて、それぐらい思ってくれていたんだなと思いました。去年の4年生たちはみんなが本当に気にかけてくれて、今でもひんぱんに連絡してくれます。開さんもわざわざ応援に来てくれるし、本当に良い関係性が作れていたんだなと感じています」という喜志永修斗を、今でも支える卒業していった先輩たちの存在が温かい。
ケガをした瞬間は引退も考えたが、「もうボロボロになるまでやればいいじゃん」という希望の言葉が、ボロボロだったメンタルを癒やしてくれた。復帰した今、大学入学して以来はじめてとなるインカレ出場、そしてBリーグでプロ選手になることをモチベーションとする喜志永は、希望に満ち溢れていた。
このチームに必要とされていると実感できたことでメンタル回復
新チームになったときに、(鈴木)悠斗と2人でキャプテンになりましたが、ケガをしていたこともあり、最初は悠斗にすべてを託していました。スプリングトーナメント(関東大学バスケットボール選手権大会)も、当然ベンチには入っていなかったです。でも、それがチームにとってマイナスになっていないかと感じました。もちろんコートに立つことはできませんが、それでも「ベンチに入りたい」と(佐々木)優一さん(監督)にお願いしました。みんなにも、自分がチームのために声を出したり、背中を押したりしてくれたことが良かったと言われ、その言葉が自分にとっても大きな救いでした。自分がこのチームにまだ必要とされているんだと思えたことが、メンタル面での大きな回復につながりました。
夏になって練習試合が始まり、復帰戦は東海大学戦でした。でも、めちゃくちゃボロボロで何もできませんでした。こんなにもパフォーマンスが落ちたんだという現実を目の当たりしに、そこでまたメンタルが落ちました。それでも優一さんが使い続けてくれましたが、練習試合では波がいろいろありましたね。でも、その波があるからこそまだ伸びしろがあると思い、それを安定させるようにすることを目標にがんばっていました。リーグ戦がはじまった当初も自分のプレーが思うようにできず、そこでもまた落ち込みました。9月に2週間ほど試合が無かった時期があり、あえてバスケットから離れました。もちろん練習はしていましたが、オフの日はバスケットのことを全く忘れてリフレッシュしたことで吹っ切れることができました。そこから少しずつ調子も上がっていき、メンタルも少しずつ良い方向に向かっているところです。