うまく言葉では言い表せない「強さ」とは?
グリーンを基調とした横浜エクセレンスのホームアリーナ、横浜武道館。そこを間借りするような形で開催されたのが、神奈川大学ホームゲームだ。
今シーズン、14チームに拡大した関東大学オータムリーグ1部は、各大学でのホームゲームが増えている。ただ会場を提供するだけではなく、自分たちの試合では照明を暗転させたり、音響を入れたり、学生が作ったクリエイティブな映像を流したり、さまざまな趣向を凝らしている。神奈川大学ホームゲームは、横浜EXの設備をフル活用した演出で盛り上げていた。
10月19日から2日間に渡って行われたホームゲームは、奇しくもチームカラーがグリーンの青山学院大学と専修大学を迎える。青山学院大学戦は77-73で接戦を制し、9勝目を挙げた。幸嶋謙二監督は「やっぱり4年生」と常に話しており、4年間苦楽をともにした最上級生がチームを引っ張る。シューティングガードの#51 横山悠人は21点、シューターの#34 工藤貴哉が19点と続く。193cmの#11 工陸都はインサイドで泥臭く身体を張り、4年生たちが勝利へと導いた。
2戦目は、首位争いの真っ只中にいる3位・専修大学。どちらもケガ人がおり、万全ではないことで神奈川大学にも一矢報いるチャンスは十分にあった。しかし、前半を終えて38-24と14点リードを奪ったのは、上位にいる専修大学。後半、ディフェンスから締め直し、工や横山がゴールにアタックして反撃開始。連続3ポイントシュートを決める工藤。残り3分を切り、3年生の三浦拓がリバウンドをねじ込み、51-55と4点差に迫る。しかし、地力に勝る専修大学が61-57で逃げ切り、神奈川大学は惜しくも敗れて12敗目を喫した。
「やっぱり最初の入りの部分で、弱さというか脆さが出てしまいました。そこで追いつこうとしたんですけども、前半の点差を追いつくためのエネルギーを早い段階で使ってしまい、最後のエネルギーが残っていなかったという印象ですね」と工藤は試合を振り返る。エネルギーが枯渇してしまった原因として、「出ているメンバーだけではなく、ベンチメンバーを含めてまだまだチーム一丸となった強さがない」と指摘する。
工藤がまだ入学する前、4つ上の兄・卓哉がいた神奈川大学と比較し、「うまく言葉で説明はできないんですけど、兄の時はなんか強さがありました。その強さがまだ、今年はないんですね」ともどかしい。その見えない強さを突き詰めていかなければ「インカレ出場という自分たちの目標は達成できないので、兄がいた頃の神大の強さをもう一度、取り戻したい。そして、その伝統を下級生にも伝えていき、どんどん積み上げていきたいですね」と理想とするチーム像を追いかける。
うまく表現できない神奈川大学の「強さ」について、キャプテンの横山は「僕らが入学する前の神大には、工藤さんが留学生を守り、4年生が率先して身体を張っていました。今も工が身体を張って守ってくれていますが、続く#21 阿部(千寛/2年)や#22 山本(颯太/3年)の負担が下級生になっていることが、その強さがない部分なのかもしれません」と補足してくれた。もちろん阿部や山本ら後輩たちも「厳しくマークしていますし、すごく助けてもらっています」という成長も実感できている。