3勝してしまったことで生じた気の緩み
3勝という結果に対し、「2部から上がってきたからこれで良いとか、今年は1部に昇格したばかりだからこれぐらいで良いと言ってしまえば、今後は絶対に勝てない」と高いレベルを設定して挑んでいる。「言い方はおかしいですが、3勝してしまったことで気持ちが緩んだり、自分たちはできるんだという勘違いがたぶん生じてしまったり、気を抜いてしまっているところは絶対にあります」という悪い空気を吉村は感じていた。
「もう一度、ゼロからの気持ちで戦っていかなければ、今度の試合も絶対に勝てないし、3勝のまま終わってしまうのではないかという危機感もあります」
早稲田大学戦の翌日に行われた東海大学とのロースコアゲームは、惜しくも50-53で落として8敗目。直近の拓殖大学戦も56-66で及ばずに9敗を数え、吉村の危機感が現実を帯びてしまい兼ねない。試合中は「切り替えろ!走ろう!ディフェンスしろ!」と声をかけ、それがチームのテーマでもあった。
「戻る、走る、声を出すのは当たり前のようですが、まだできていない課題のひとつです。ずっと声を出し続けていかなければいけないと思っていますし、ベンチからもキャプテンの#46 井上(耀)が率先して声を出してくれていることで、自分も気付かされることがあります。もっとチームが団結して戦って行かなければ勝てないことを痛感しました」
週末3連戦が続いたリーグ戦は、天皇杯ブレイクのため2週間空き、次戦は9月28日に1巡目ラストの筑波大学と対戦する。連戦となる今シーズンは、「その経験がない選手が多く、そこで悩まされたり、疲労が溜まってきている選手もいます」という吉村は試合後のケアとフィードバックを重要視し、体とメンタルの立て直しに努めている。
タフなスケジュールではあるが、コロナ禍で試合数が制限され、大会が中止になったこの2年間と比較すれば、「今年は1部の舞台に上がり、きついですけど何試合もできる環境は心から感謝しています。楽しくバスケもできています。昨年の4年生の分まで戦い抜こうという気持ちで臨んでいます。きついよりも勝ちたい、そして勝てずに悔しいという気持ちの方が今は強いです」とさまざまな感情を抱く吉村は、もがきながらも次の1勝を目指す。
文・写真 泉誠一