一緒のチームとして過ごしたBリーガーたちの振る舞いに感銘を受けた渡部は、チームの文化を築くために実践している。
集大成となる4年生として自信を持って臨めているかと聞けば、「まだまだ課題があるという気持ちの方が強いです」という回答が返っていた。
「良くも悪くも能力がある選手が集まったわけでない分、チームとして徹底したり、文化として残したりすることで伸びしろができます。そこで成長できることが大学バスケの魅力でもある。中大としては、1年1年徐々に文化が積み上がってきて、成長するためのチームとしての取り組みがどんどん増えてきています。課題はまだまだありますが、それを一個一個潰す力や習慣が根付いてきました。伸びしろがあり、成長の幅を感じられるやり甲斐あるチームです」
3ポイントシュートを武器に、毎試合二桁得点を量産する渡部に対するマークは当然きつくなる。エースとして自らが決める自覚と責任を備える一方で、「後輩たちもしっかり取り組んでステップアップしてきているので、信頼しているからパスを出せています。チームとして打ちたいシュートをクリエイトする中で、後輩に託せる部分がたくさん出てきました」という連携も見られている。オプションが増えれば、渡部自身のシュートチャンスも増えていく。
1年のときからプレータイムを与えられた今年の4年生たちは、コロナ渦前のレギュラーションを体験している。渡部は、「試合に出ている立場としてはやっぱりきついです」と言いながらも、チームとして経験値を伸ばせるオータムリーグを歓迎する。
「ベンチメンバーもタイムシェアをして経験できる時間も増えます。コロナ禍となった2年間は全然試合数も足りていなかったので、今年のように26試合できることはチームとしてはうれしいことです」
試合前の準備に勤しみ、試合が終われば反省点を洗い出し、ふたたび次の試合に備える。この繰り返しが選手を成長させ、最高のチームへと変貌を遂げる。
文・写真 泉誠一